• "産業"(/)
ツイート シェア
  1. 山口県議会 1997-06-01
    06月23日-02号


    取得元: 山口県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    平成 9年 6月定例会   平成九年六月山口県議会定例会会議録 第二号      平成九年六月二十三日(月曜日)                              議事日程 第二号      平成九年六月二十三日(月曜日)午前十時開議  第一 会議録署名議員の指名  第二 代表質問  第三 議案第一号から第二十一号まで(質疑)                              本日の会議に付した事件  日程第三 議案第一号から第二十一号まで                 会議に出席した議員(五十三人)                          柳   居   俊   学 君                          藤   田   典   久 君                          山   手   卓   男 君                          亀   永   恒   二 君                          吉   井   利   行 君                          末   貞   伴 治 郎 君                          伊   藤   博   彦 君                          桝   田   市 太 郎 君                          吉   田   和   幸 君                          湊       政   則 君                          横   山   豊   治 君                          伊   藤       博 君                          三   木   康   博 君                          石   﨑   幸   亮 君                          松   原       守 君                          西   本   輝   男 君                          塩   満   久   雄 君                          水   野   純   次 君                          加   藤   寿   彦 君                          友   田       有 君                          二   木   和   夫 君                          浅   野   謙   二 君                          村   木   継   明 君                          宮   崎   泰   雄 君                          宮   﨑   幹   嗣 君                          佐 々 木   明   美さん                          中   村   泰   昌 君                          松   永       卓 君                          合   志   栄   一 君                          新   谷   和   彦 君                          田   中   文   夫 君                          桑   原   孝   行 君                          山   本   忠   由 君                          近   間   一   義 君                          藤   井       真 君                          島   田       明 君                          田   中       貢 君                          斉   藤   良   亮 君                          松   浦   正   人 君                          橋   本   憲   二 君                          守   田   宗   治 君                          中   島   修   三 君                          藤   谷   光   信 君                          稲   本   勇 一 郎 君                          武   田   孝   之 君                          竹   本   貞   夫 君                          平   田   和 三 郎 君                          河   野   博   行 君                          秋   野   哲   範 君                          村   田   哲   雄 君                          岸   田   松   治 君                          森   中   克   彦 君                          友   田   音   一 君                会議に欠席した議員(一人)                          田   村   茂   照 君                議案等の説明のため会議に出席した者                    知事          二 井 関 成 君                    副知事         小 河 啓 祐 君                    出納長         綿 屋 滋 二 君                    総務部長        古 谷 正 二 君                    総務部理事       河 野   勉 君                    企画振興部長      谷   晋   君                    環境生活部長      村 岡 正 義 君                    健康福祉部長      藤 井 俊 彦 君                    商工労働部長      湯 田 克 治 君                    農林部長        藤 井   寛 君                    水産部長        宮 本 義 則 君                    土木建築部長      古 庄   隆 君                    出納局長        水 上 武 雄 君                    財政課長        横 田 真 二 君                    公営企業管理者     冨 永 和 信 君                    企業局長        伊 東 省 二 君                    教育委員長       原 田 俊 一 君                    教育長         上 野 孝 明 君                    公安委員長       加 藤   淳 君                    警察本部長       村 田 保 史 君                    代表監査委員      藤 村   實 君                    監査委員事務局長    白 松 健 一 君                    地方労働委員会会長   安 井 達 雄 君                    地方労働委員会事務局長 有 村 久 雄 君                    人事委員長       白 松 壽 人 君                    人事委員会事務局長   弥 源 治 毅 君                    選挙管理委員長     津 田 正 人 君                 会議に出席した事務局職員                    事務局長        東   章   君                    事務局次長       村 田   博 君                    総務課長        來 村 正 志 君                    調査課長        尾 木 俊 治 君                    秘書室長        大 島   収 君                    議事課長補佐      清 水 英 司 君                    主査兼議事係長     中 田   望 君                    記録係長        髙 田 賢 司 君                    主任主事        佐 伯 淑 子さん                    主事          石 橋 教 幸 君                    主事          安 達 香奈恵さん     午前十時開議 ○議長(河野博行君) これより本日の会議を開きます。 △日程第一会議録署名議員の指名 ○議長(河野博行君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 田中文夫君、藤谷光信君を指名いたします。    諸般の報告 ○議長(河野博行君) この際、諸般の報告をいたします。 報告事項は、お手元に配付の文書のとおりであります。 △日程第二代表質問 △日程第三議案第一号から第二十一号まで ○議長(河野博行君) 日程第二、代表質問を行い、日程第三、議案第一号から第二十一号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。横山豊治君。    〔横山豊治君登壇〕(拍手) ◆(横山豊治君) 平成九年六月定例会に当たりまして、私は、自由民主党県議団を代表いたしまして、県政の諸問題について、二井知事、上野教育長並び村田警察本部長に質問をいたします。 まず、県政運営の基本方針についてお尋ねいたします。 創造と変革という複雑な時代の中で出発した二井県政でありましたが、今定例会には、知事の重要な公約でありました情報公開条例が提案されたところであり、また、先般、県民の悲願であった岩国基地滑走路沖合移設事業の起工式が行われるなど、山口県の二十一世紀に向けた確かな歩みを感じるのは、私ばかりではないと思います。 さて、先般、国においては、財政再建に向けた「財政構造改革の推進方策」をまとめ、今後、財政再建法案の秋の臨時国会提出に向けた作業に入ったところであります。 我が国の財政は、少子・高齢化の進展や冷戦構造の崩壊、生産年齢人口の減少など、主要先進国の中でも最悪の危機的状況にあり、二十一世紀に向けて、さらに効率的で信頼できる行政を確立し、安心で豊かな福祉社会、健全で活力ある経済の実現という明るい展望を切り開くためには、経済構造の改革とともに、財政構造の改革を進めることが緊急の課題となっております。 こうしたことから、今世紀の三年間を「集中改革期間」と定め、歳出の削減と縮減を進めることとし、特に、公共投資を初めとする政策的経費の具体的な量的縮減目標が定められたところであります。 私は、例えば、公共投資においては、これまでの大都市優先から地方優先へ方向転換し、また、地方においては、都市部と過疎地域のバランスに配慮するなど、今後の予算編成は、果断な政策転換が必要になってくると考えております。 さて、県においては、中期財政見通しの策定が鋭意進められているところでありますが、こうした国の動向や地方分権の時代の中で、国の予算編成に対しては、地方自治体には、みずからの責任において、新たな時代を切り開いていくことが求められております。 私は、これからの厳しい財政状況の中で予算を獲得していくためには、今、地方に何が必要かを考え、何を国へ求めるかが、これからの地方のあるべき姿であると考えております。 こうした中で、先般、県は、平成十年度の政府予算に関する本県の重点要望項目を発表されました。 その中にも記載してありましたが、地方から、新たな視点に立った地域づくりプロジェクトの創設の提案など、まさに分権の時代にふさわしい提案型の要望となっております。 国の施策の画一的な受け入れではなく、地方の実情に合った制度の創設を働きかけるという、まさに二井知事の政治姿勢があらわれたものと歓迎するものであり、その成果に大いに期待しているところであります。 そこでお尋ねいたします。知事は、こうした提案型要望の導入を初め、従来の政府要望方式を抜本的に改められたところでありますが、本県の政府要望項目の実現に向けての、取り組み方針についてお伺いしたいのであります。 次に、中核都市の形成についてお尋ねいたします。 二十一世紀は「都市の時代」とも言われ、地方においては、人口三十万人以上の都市、いわゆる地方中核都市は、人口を初め、経済、文化、情報などのあらゆる面で拠点性を高め、地域の活性化に大きな役割を果たしております。 一方、近年、地方分権の進展に伴い、地方への権限移譲が論議される中で、その受け皿づくりとして、住民に最も身近な地方公共団体である市町村の規模拡大も求められています。 こうした潮流の中で、山口県には中核都市がないため、このままでは、ますます広島と福岡・北九州の都市圏ネットワークの中に取り込まれ、若者たちに多様で魅力的な働く場を初め、より質の高い都市的サービス等を提供してくれる都市型産業の成長も期待できません。 中小都市が散在する分散型都市構造の本県においては、若者を中心とする人口定住、地域経済の活性化、また地方分権の推進を図るとともに、若者たちが満足感を持ってふるさとで働き、学び、活躍できる県づくりを進めるためには、都市型産業が集積する、山口県の核となる中核都市の形成が不可欠であります。 中核都市が身近にできれば、周辺の市町村、農山村においても、さまざまな波及効果が期待できます。 知事は、昨年八月に就任以来、「二十一世紀に自活できるたくましい山口県の創造」を県政運営の基本目標に掲げられ、特に中核都市の形成は、関係圏域のみならず、県勢全体の活性化の観点から、県政の最重要課題として取り組まれておられるところであります。 こうした中で、周南地域においては、これまでの多年にわたる取り組み経緯を経て、ことしに入り、初めて横断的民間推進団体が組織化され、さらには、地方拠点基本計画の承認が行われるなど、新たな動きが生じております。 さらに、五月には、徳山、下松、新南陽市の三市長が発起人となり、「周南合併推進協議会」の設立が打ち出されるなど、新たなステップが踏み出されております。 これは、執行部、地元議会、民間団体等による周南地域全域にわたる横断的な組織として、中核都市づくりに、官民挙げて取り組もうとするものであります。 経済面で県政をリードする周南地域が、いよいよその総力を挙げて、地域の発展に取り組まれる方向を明確に打ち出されたのであり、これから種々ハードルもありましょうが、その取り組みに大いに期待を寄せているものであります。 また、県央部においては、今月一日に、山口市との合併も一つの争点とした小郡町長選挙が行われ、大変住民の関心も呼び、多くの議論も行われました。 選挙結果については、いろいろな論評もあるようですが、県央部における中核都市の形成は、引き続き、県勢の発展に欠くことのできない重要な課題であります。 我が自由民主党は、地方分権を初めとする全国的な潮流、そして、本県の現状を見るとき、合併を含む中核都市づくりは、必ず達成しなければならない最重要課題であると考えるものであり、二井知事の手腕に大いに期待を寄せ、支持をいたすものであります。 そこでお尋ねでありますが、こうした最近の諸情勢を踏まえ、中核都市の形成に向けて、今後どのように取り組んでいかれようとするのか、知事の御所見を改めてお伺いいたします。 次に、社会保障に関するお尋ねであります。 我が国は、高齢化・少子化の進展、国民ニーズの多様化・高度化、経済基調の変化など、社会・経済の大きな構造変化に直面する一方で、医療、福祉、年金などが国民生活の中で果たす役割は一層増大しており、社会保障に対する国民の期待はますます高まっております。 こうした状況下で、来るべき二十一世紀に向け、我が国の社会保障制度を維持していくためには、右肩上がりの経済の中で成長してきた社会保障を、今後どのように運営していくかが重要な課題であり、経済の活力を損なわず、また、国民に過重な負担を課すことのないようにしつつ、一方において、国民のニーズに応じた適切な給付を確保するという難しいかじ取りが要求されており、まさに社会保障全体の構造改革の推進が求められるところであります。 現在、国において進められている「財政構造改革五原則」においても、社会保障も例外でなく、現在の制度のままでは、高齢化の進展に伴い、大幅に増大することが見込まれる社会保障給付の見直しを図るため、社会保障制度全体の構造改革を進めることを求めております。 具体的には、高齢化のピーク時においても国民負担率が五○%を超えないよう、経済、財政と調和のとれる社会保障制度を構築することを基本とし、利用者本位、公平な給付と負担、効率的な給付等の観点に立った医療、年金、福祉全般にわたる抜本的構造改革を、総合的かつ段階的に実施していくこととされており、特に、十年度予算については、約八千億円超の当然増について、五千億円を上回る削減を行うことにより、増加額を抑制することとしております。 また、御案内のとおり、この改革の第一歩として、健康保険法等の一部を改正する法律が、さきの国会において成立したところであり、今後、医療保険制度の抜本的改革に向けての具体的な議論がされることとなっております。 昭和三十七年以降、国民医療、国民生活を支える柱として大きく寄与してきた我が国の国民皆保険制度を、二十一世紀の高齢社会においても維持していくことは、国民だれしも望んでいることでありますが、今回の改正は、大幅な赤字体質にある医療保険制度の安定化とともに、給付と負担の適正化を図ることを目的としていることから、県民にも応分の負担を求めるものとなっており、経済的理由等により、医療費負担が過重となる場合もあると考えられます。 いずれにしても、社会保障が国民生活の安定に果たす役割を考えると、その制度改革は、避けては通れない、必要不可欠なものと考えますが、知事は、県民生活に影響を与えるであろうこの改革の動きに対して、どのように対処していこうとお考えなのか、御所見をお伺いいたします。 次は、山口宇部空港の機能強化についてであります。 山口宇部空港は、本県唯一の空の玄関口として、観光面を初め、本県産業経済に果たす役割はますます高まっており、この機能強化を進めることは多くの県民が期待するところでありまして、県政の重要課題の一つとなっておりますことは御案内のとおりであります。 このような中で、知事が議案説明の中で報告されましたように、県民待望の新規路線として、沖縄線が来月の十八日に開設の運びとなりました。滑走路の延長工事のつち音が聞こえる中での朗報だけに、まことに喜ばしい限りであります。 高速交通網に対するニーズが高まる中、この沖縄線の開設によりまして、本県と首都圏、そして北海道といった、これまでの北東に向けたネットワークに加え、沖縄という南西に向けた空路のネットワークが形成されることとなり、県民の空の足の利便性は、飛躍的に向上することになりました。 また、沖縄線の開設は、本県の人や物の交流基盤の拡大につながり、本県の産業や観光などの発展に大きな効果があるものと期待するのであります。 さて、山口宇部空港の利用者については、東京線は、七年度、八年度と、二年連続で六十万人を超えるなど、着実に増加傾向にありますものの、その一方で、観光路線と言われております札幌線については、このところ伸び悩んでいるようであります。 このようなことから、東京線については、需要の増大にこたえ、また、より利用しやすくするため、いわゆるダブルトラックをも視野に入れての増便に、全力を挙げて取り組む必要があると思います。 また、札幌線と、このたび開設されることとなりました沖縄線については、この路線開設の効果を、最大限県勢の発展に結びつけていく必要があり、そのためには、両路線がともに観光路線であることから、観光客の誘致対策が当面の課題になっているのではないかと考えるのであります。 一方、地方の国際化が進展する今日、中国地方や九州地方の空港は、既に定期国際路線を設けているところも多く、また、開設できていない県においても、国際路線の就航に向け、国際チャーター便を飛ばして実績づくりを図るなど、何らかの取り組みを強化しているようであります。 したがいまして、本県においても、国際定期路線の開設については、中長期的な課題として取り組んでいく必要があると考えるのであります。 そこでお尋ねいたします。県におかれては、東京線の充実について、ダブルトラックへの対応も含め、どのように取り組まれようとされるのか、また、札幌線と沖縄線については、どのような観光客の誘致対策を講ぜられようとされるのか、さらには、国際路線の開設に向けて、どのように取り組まれようとされるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、農業問題、とりわけ、最近のコメを取り巻く問題についてお尋ねいたします。 本県の平成九年産米の作付は、春先からの温暖な気候と適度な降雨に恵まれ、県下各地域において、例年どおり、順調に進んでいるようであります。 さて、我が国の農業生産の基幹作目であるとともに、収穫に感謝する秋祭りなど、農村文化のもとであるコメは、戦後の土地改良事業の推進、稲作技術の普及等により、収量の安定、増産が進み、全国の平均反収は、昭和四十年産の四百三キログラムから、平成七年産では五百キログラムを超える水準まで、飛躍的に向上しております。 一方、食生活の変化などから、国民一人当たりの年間コメ消費量は、農林水産省の示す「食糧需給表」によりますと、昭和三十七年度の百十八キログラムから、平成七年度には六十八キログラムへと大幅に減少し、消費者ニーズは量から質へと移行し、いわゆる「おいしいコメ」が求められております。 食糧庁が五月一日に発表した「全国の平成九年産米の主要品目別作付状況」見込み数値でありますが、これによりますと、コシヒカリが十九年連続の一位、以下、あきたこまち、ひとめぼれ、さらには、西日本を中心にヒノヒカリなど、いわゆる良食味と言われるコメの作付面積が上位を占める状況にあります。 また、食糧法の施行により、コメ流通への市場原理の導入や流通の広域化、さらには三年連続の豊作で、三百万トンを超える在庫の増加によるコメ余りの状況から、販売競争はますます激化しております。 県内の小売店においても、新潟県のコシヒカリや秋田県のあきたこまち、宮城県のひとめぼれなど、他県産米の販売が目立ってきております。 私は、消費者ニーズの多様化・高度化や、流通環境の目覚ましい変化に的確に対応した生産を目指さなければ、コメ生産県である本県農業は生き残れないのではないかと思うものであります。 こうした本県のコメを取り巻く環境の中で、県の農業試験場において開発を進めてこられたコメの新品種「山口一号」が、近々本格的に栽培されると仄聞し、山口県産米の切り札として、大いに期待するものであります。 あわせて、この新品種を保護していくことが大変重要であると考えます。 そこでお尋ねしますが、他県産米との産地間競争を踏まえた「山口米」の生産振興、特に良食味米の生産振興にどのように取り組まれるのか、お伺いします。 次に、教育問題についてお尋ねいたします。 昨今の子供を取り巻く事件として、神戸市の小学生の殺害事件や、大阪府での口論に端を発した高校生同士の殺害事件などが相次いで発生しております。 さらに、陰湿な「いじめ」や、これに起因する子供たちの自殺など、子供たちに関するさまざまな暗い事件は後を絶たないところであります。 確かに、かつてに比べ、我が国の社会が、物質的に豊かなものになったことは紛れもない事実でありますが、しかし、地域の連帯感や人間関係が希薄化する中で、モラルや礼儀、他人への思いやりの心が廃れつつあることを憂う声も強く、新聞等で報道されるさまざまな事件も、基本的には、こうした問題に起因するものであると考えております。 今後、このような状況が続けば、我が国の社会は極めて憂うべき状況になると、心から憂慮しているところであります。 こうした中、国においては、新しい時代に向けた抜本的な教育改革が推進されつつあり、その一環として、この五月末に、「二十一世紀を展望した我が国の教育の在り方について」と題した中央教育審議会の第二次答申に向けた審議まとめが公表されたことは御案内のとおりであります。 この審議まとめにおいては、子供たちに「ゆとり」の中で「生きる力」をはぐくむことを目指し、一人一人の能力・適性に応じた教育を展開していくために、既に八都道県が導入の方向で検討を始めている「中高一貫教育校」の導入や、「大学・高等学校入学者選抜の改善」、また、いわゆる「飛び入学」の導入など、幾つかの具体的な提言がなされております。 私は、この一連の教育改革において、その中心的な課題は、これまでの効率を重視した「画一・一斉」の教育、また「形式的な平等主義」の教育から、一人一人を大切にする「個性重視」の教育への転換であると認識しております。 そして、それを実現するためには、子供たちがみずからの個性や適性に応じた選択が可能になるような制度、システムをつくり上げることが極めて重要であると考えており、そうしたことから、今回の中教審の審議まとめについては、評価できるものと考えております。 私は、明るく活力に満ちたあすの山口県、ひいては、日本の社会を築いていくためには、優しさや正義感にあふれ、個性豊かで活力ある人材を育成することが極めて重要であると考えており、この人づくりを担う教育に大きな期待を寄せているものであります。 そこで教育長にお尋ねしますが、このような中央教育審議会などの動きを踏まえ、今後の本県教育をどのように進めていかれようとしているのか、教育長の所見を伺います。 最後に、神戸市須磨区において発生しました男子小学生殺害事件に関連して、警察本部長にお尋ねいたします。 この事件につきましては、その発生直後から、マスコミでも繰り返し取り上げられ、神戸市民ばかりでなく、我々も、その残忍な犯行に強い怒りを覚えるものであります。 さらに、犯人が逮捕されていない今、地域の方々は、さらなる犯罪の発生の不安におののき、児童の集団登下校はもとより、子供を外出させることもためらわれていると聞いております。 地域の方々の不安を取り除き、そして、亡くなられた子供さんの御冥福を祈るためにも、警察当局は総力を挙げて、一日も早い事件の解決がなされることを切に願うものであります。 ところで、今回の事件では、今年三月にも、現場近くで、小学生の女の子二人が通り魔に襲われ、一人が亡くなるという事件が起きており、同一犯人によるものではないかという推測もありますが、事ほどさように、こういった犯罪は、常に連続性、模倣性といったものが危惧されます。 このため、大きな犯罪に発展する前の段階で、学校と警察の連携を強化するなど、犯罪の芽のうちに摘む御努力もしていただきたいのであります。 本県におきましては、幸いなことに、神戸市で起きたような事件は発生しておりませんが、全くその危険はないとは言えないと思います。 下校中の小学生に声をかけてきたり、車に乗るよう誘いかけられたりといった話は、時に耳にいたします。こうした行動は、顔見知りでない限りは、犯罪のための行動としか思えません。 もちろん、警察御当局におかれましても、こうした不審人物に関する情報というものは把握されているものと思いますが、こうした情報をもとに、警戒を強めていただくとともに、不審人物を割り出していただき、何らかの法的な措置を講じていただきたいと思うものであります。 そこでお尋ねいたしますが、今回の神戸市の事件の発生以後、こういった犯罪の防止のため、いかなる対策をとられているのか、また、学校などの関係機関との連携をどのようにされようとしているのか、お伺いいたします。 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(河野博行君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 御質問に順次お答えを申し上げます。 まず、県政運営の基本方針に関連して、政府要望の実現についてのお尋ねであります。 お示しのとおり、政府要望につきましては、地方分権の進展や財政構造改革の推進など、新たな時代の流れに即応し、より実効性のあるものとするために、新たな視点に立って抜本的な見直しを行いました。 具体的には、現在策定中の新しい長期展望に沿いながら、本県から国に対し、地域づくりプロジェクトの創設を提案するなど、提案型の要望に積極的に取り組みますとともに、国の予算編成スケジュールに合わせた、より効果的で効率的な要望活動を行うため、例年、夏の概算要求段階で行っていた要望活動を、二段階方式に変更することといたしました。 すなわち、制度提案型八項目と、概算要求段階で箇所が特定される六項目、合わせて十四項目につきましては、各省庁で重点施策が検討される六月に、要望時期を前倒しして実施することとし、また、従来の予算獲得型要望につきましては、国の予算編成の状況等も見きわめながら、編成作業が本格化する十一月に集中的に実施することといたしたところであります。 特に、この制度提案型要望につきましては、国に対し、新たな制度の創設や改善を求めるものでありますので、従来の予算獲得型要望と異なり、その実現に時間を要しますが、高齢者モデル居住圏構想の推進、広域交流・連携の推進に係る支援制度の創設、魅力ある中山間地域づくりモデル圏域構想の推進、地域情報化推進のための高度情報基盤の整備など、いずれも「二十一世紀に自活できるたくましい山口県の創造」を推進していくために、その実現が欠かせないものであります。 今後、国に対し、制度創設に向けての合同研究会の設置を働きかけるほか、あらゆる機会を有効活用して制度説明を行うなど、不断の努力により、着実に実現を図っていかなければならないと考えております。 平成十年度の国の予算編成作業は、財政構造改革を背景に、一段と厳しさを増すと考えられ、本県の予算獲得も大変厳しいものが予想されますが、新しい長期展望に沿って、本県の未来に向けて明るい展望を切り開くためには、これらの政府要望項目をぜひとも実現していく必要があります。 今後、県議会の皆様と一体となって、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。 次に、中核都市の形成についてのお尋ねであります。 近年、都市化が急速に進展し、今や都市は、我が国経済社会を主導する活動拠点となっております。 その一方で、東京圏へ人、物、情報が集中し、地方圏では、人口減少や地域活力低下の問題が生じております。 こうした中で、国におきましては、新しい全国総合開発計画の計画部会調査検討報告において、東京圏への一極集中を是正し、国土の均衡ある発展を図る観点から、福岡・北九州、広島及びこれらに準ずる岡山、松山等の地方中枢・中核都市圏を、国際交流や高次都市機能の集積拠点としての「中枢拠点都市圏」と位置づけ、各都市圏の規模、特性に応じた機能の整備を重点的に推進することとしております。 一方、平成七年の「地方分権推進法」の成立により、地方への権限移譲が進められます中、その受け皿として、住民に最も身近な地方公共団体である市町村が行財政基盤を強化することが必要であり、その規模拡大や能力の向上等の観点から、市町村合併が全国的に論議されつつあります。 本県の中核都市構想は、こうした国の政策動向を先取りしたものであり、その政策意義はさらに高まっていると認識をいたしております。 お示しのとおり、特に分散型の都市構造を有する本県におきましては、高次都市機能や都市型産業の集積した中核都市の形成が必要であり、そのためには、都市合併が最も有効な方策であります。 こうした中で、周南地域では、合併への取り組みのステップアップが図られようとしております。 県としても、関係自治体の自主性を十分尊重しながら、必要な情報提供や指導に努めますとともに、地域の一体化に資する基盤整備につきましても、地元自治体との役割分担のもとに、計画的に取り組んでいく必要があると考えております。 また、県中央部では、さきの小郡町長選挙において、山口市との合併によるまちづくりの論議が展開をされましたが、その選挙結果を踏まえ、今後、山口市、小郡町、さらには防府市、秋穂町を含む二市二町が、県央部における中核都市のあり方、役割分担、手法等について協議されることが必要であります。 県としては、その意向をお聞きをしながら、必要な指導・助言、支援を行っていきたいと考えております。 合併を含む中核都市の形成は、関係自治体が住民の意向を踏まえ、自主的・主体的に判断し、決定されるものであります。 今後とも、行政、議会、住民の方々が、みずからの地域の将来のあり方について議論を深められ、そのコンセンサスづくりが進むように期待をいたしております。 今後とも、県議会を初め、関係の皆様の御理解と御支援、御協力をお願いを申し上げます。 次に、社会保障制度改革についてのお尋ねにお答えを申し上げます。 お示しのように、国におきましては、財政構造改革の一環として、医療保険制度や年金制度の改革、介護保険制度の創設等、我が国の社会保障制度全般にわたる構造改革の方策が打ち出されました。 これらの制度改革は、これまで、国民生活の安定に重要な役割を果たしてきた社会保障制度を、二十一世紀に向けて長期安定的に運営をしていくため、公平な給付と負担により、個人の自立を支援する利用者本位の効率的な仕組みへと、抜本的な構造改革を図ろうとするものであります。 県としては、これまでも、国民健康保険制度の安定的な運営に向けての制度改革や、介護保険制度導入に当たっての地方の役割分担や財政負担のあり方等について、全国知事会等を通じて、国に強力に要請をしてまいりました。 県民生活や地方財政に影響を及ぼす今回の社会保障制度の改革につきましても、地方の実情を踏まえ、地方の意見が十分に反映されるものとなりますように、必要に応じて、国に働きかけてまいりたいと考えております。 私は、今後、少子・高齢化が進展する中、国、地方とも厳しい財政状況にありますが、県民の保健福祉の向上は、極めて重要な課題と認識をいたしております。 このため、今年度予算におきましても、限られた財源で、効果的、戦略的に施策が展開できますよう、保健福祉施策の重点化、効率化を図りますとともに、県民生活に対するきめ細かな配慮に努めました。 また、さきの国会で成立をした健康保険法等の改正により、本年九月一日から、医療費の自己負担がふえることとなりますが、重度心身障害者等を対象とする単県福祉医療制度につきましては、受給者が安心して医療が受けられるよう、その自己負担の増加分を助成する方向で検討をいたしております。 今後とも、私としては、国の制度改革の動向を踏まえながら、県民ニーズの変化や地域の実情に応じ、保健・医療・福祉施策の連携や再構築をより一層進め、赤ちゃんからお年寄りまで、県民だれもが安心して暮らせる「心のかよう健康福祉社会」の実現に努力してまいります。 次に、山口宇部空港の機能強化についてであります。 山口宇部空港は、昨年、開港三十周年を迎えましたが、この間、新滑走路の建設や、ジェット化後の東京線の相次ぐ増便や札幌線の開設、そして、来月十八日からの沖縄線の開設へと、飛躍的に機能が拡充をされました。 これは、県議会を初め、官民一体となった取り組みの成果と、空港周辺の住民の方々の温かい御理解のおかげであり、深く感謝を申し上げます。 このような状況の中で、当面、最大の課題であります東京線の六便化につきましては、このたびの羽田空港の乗り入れ枠拡大による対応は実現をできませんでしたが、規制緩和の一環として、航空会社の自由度を拡大し、既存枠の他路線への転用が認められましたので、県といたしましては、引き続き、全日空に対し、他路線の見直しによる増便を期待しながら要望活動を続けているところであります。できるだけ早期に実現をしたいと考えております。 なお、二社が乗り入れる、いわゆるダブルトラックにつきましては、競争原理導入のメリットは期待できますものの、現在生じている四時間近くの空白時間を解消し、安定したダイヤを確保するために、六便化までは全日空による単独路線で対応し、その後の増便は、ダブルトラック、トリプルトラックも視野に入れて取り組んでいきたいと考えております。 次に、札幌線と沖縄線に係る観光客の誘致対策についてでありますが、札幌線につきましては、就航以来、毎年、物産観光展を中心とした観光宣伝事業や旅行エージェント、県人会の本県への招待事業等を実施し、観光客の誘致に取り組んでおり、一定の成果も上がっております。 したがいまして、今後もこれらの継続実施と、本年四月からの週四便化を機に、新しい旅行商品の企画を通して、引き続き、観光客の誘致に積極的に努めていきたいと考えております。 また、沖縄線につきましては、札幌線同様、観光路線の色合いが強いことから、基本的には、札幌線による観光客の誘致手法を取り入れて取り組んでいきたいと考えております。 次に、国際路線開設に向けた取り組みについてであります。 現在、国際路線に結びつける実績づくりの一環として、チャーター便の運航に努めておりますが、平成十二年度の二千五百メートル滑走路の完成をにらみ、このチャーター便の実績づくりをさらに高めますとともに、本年度は、特に、香港、ソウル、シンガポール等のハブ空港との路線開設の可能性を調査をし、重点的、戦略的に路線の開設を検討したいと考えております。 次に、山口米の生産振興についてのお尋ねにお答えを申し上げます。 お示しのとおり、食糧法の施行から一年半が経過をし、市場原理の導入や流通規制の緩和、さらには、大幅な過剰基調という状況の中で、コメをめぐる産地間競争は一段と激しくなっております。 このため、県といたしましては、食糧法の施行にあわせて策定した、本県のコメづくりの方向を示す山口米生産振興ガイドラインに沿って、高品質生産のための技術対策の徹底、コシヒカリなど良食味米の生産拡大、共同乾燥調整施設では、農業倉庫の低温化等の計画的な整備、地域の特徴を生かした地域ブランド米の取り組みなど、競争力のある山口米づくりに向け、各般の生産対策を推進をいたしております。 また、山口米のシェアの維持・拡大を図るため、生産から商品に至る関係者による産地交歓会の開催や、山口米販売促進の統一キャンペーンの実施など、流通対策につきましても積極的に推進することにいたしております。 さらに、他県産米との競争のもとで、山口米の販売促進を図るため、本県オリジナル品種として、このたび、農場試験場で開発した新品種「山口一号」は、食味、品質ともにすぐれた特性を持っておりますことから、去る三月、品種登録の申請を行ったところであります。 この「山口一号」をブランドコシヒカリの「あじいしん」とともに、競争力のある山口米として大切に育てていくことにいたしております。 この山口一号につきましては、来年度からの本格栽培に向け、中山間地域に八カ所の試験確認圃を設置をし、高品質栽培マニュアルを作成するとともに、指導者研修、産地指定、生産者登録を実施するなど、生産・指導体制を整備することにいたしております。 また、ブランド米として、広く県民にPRをするため、公募による名称の決定、パッケージデザインの作成、さらには、試食会の実施などのデビュー対策を進めることにいたしております。 今後とも、県としては、生産から消費に至る関係者の御意見を広く聞きながら、山口一号はもとより、県民に愛される、おいしい山口米づくりに積極的に取り組んでいく考えであります。 以上でございます。 ○議長(河野博行君) 上野教育長。    〔教育長 上野孝明君登壇〕 ◎教育長(上野孝明君) 中央教育審議会などの動向を踏まえた本県教育の進め方につきましてのお尋ねでございます。 まず、お示しの子供たちにかかわるさまざまな事件に関しましては、私も、心を痛めているところでありまして、今後、命を大切にする心や他人を思いやる「温かい心」など、豊かな人間性をはぐくむ教育を、より一層積極的に推進していかなければならないと考えております。 さて、このたびの中教審の第二次答申に向けた審議のまとめについてでございますが、これは、昨年七月の第一次答申の基本的な方向を踏まえ、「一人一人の能力・適性に応じた教育と、学校間の接続の改善」というテーマを中心に取りまとめられたものでありまして、お示しのように、個性尊重の教育を具体化するためのシステムとしまして、「中高一貫教育」の導入や入学者選抜の改善など、具体的で重要な提言がなされたものと認識をいたしております。 また、第一次答申の提言に加えまして、新たに、高齢社会に対応した教育のあり方についての基本的な考え方が示されたことは、高齢化が急速に進みつつある今日、まことに時宜を得たものと考えております。 本県におきましては、現在、「夢と知恵を育む教育の推進」を基本目標として、未来に明るい夢や希望を抱かせ、それを実現するための豊かな知恵を身につけさせる教育を推進しているところでありますが、これは、「ゆとり」の中で「生きる力」をはぐくむという、中教審第一次答申の基本的な考え方とねらいを同じくしているものであります。 県教委では、このような教育のより一層の具現化を図るため、今後の本県教育の指針となる教育ビジョンの策定に取り組んでいるところでありまして、策定に当たっては、中教審などの国の動向はもとより、ビジョン策定協議会での意見や、先般実施したアンケート調査結果、さらには、各種協議会の報告などを十分に踏まえながら、今後の本県教育の方向を明らかにしてまいりたいと考えております。 なお、このたびの審議まとめに盛り込まれました「中高一貫教育」などの具体的な課題につきましては、六月末に予定されております第二次答申で提言されることとなっておりますが、これらの導入のためには、審議まとめでも示されているように、国において、所要の制度改革が行われることが不可欠でありまして、今後、国の動向や全国状況も注視しながら、本県としての取り組みについて調査・研究を行ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(河野博行君) 村田警察本部長。    〔警察本部長 村田保史君登壇〕 ◎警察本部長(村田保史君) 児童や幼児等を対象とした犯罪の防止対策についてお答えいたします。 御指摘のとおり、先般、神戸市で発生した小学生殺害事件は、極めて残忍・凶悪な事件であり、目下、警察の総力を挙げて捜査を進めておりますが、いまだ犯人検挙に至っておらず、国民に大きな不安感を与えているところであります。 本県警察では、これまでも、幼児等を凶悪な犯罪から守るため、その前段となる声かけ事案など、前兆事案の把握と不審者の発見等に努めてきたところでありますが、今回の事件を踏まえ、現在、この種事案の発生防止を、県警察の当面の最重要課題と位置づけて、組織の総力を挙げて取り組んでいるところであります。 具体的には、制服警察官やパトカー、白バイ等を動員して、学校への通学路や通園路、あるいは子供たちの遊び場となる公園、遊園地等に対する警戒活動を強化しているほか、学校や幼稚園等に警察職員を派遣し、寸劇の実演や紙芝居等を通じて、子供たちに、知らない人には絶対についていかない、あるいは連れていかれそうになったら大きな声で助けを求める、といった点について、実地の指導を行っているところであります。 また、市町村等に対しても、公園や遊び場、通学・通園路等において、立ち木などが見通しを妨げ、犯罪の死角とならないよう、管理方を要請しているところであります。 次に、学校と関係機関との連携につきましては、教育委員会、学校、幼稚園等に対し、子供を誘拐の被害等から守るための協力要請を行うとともに、PTAや地域ボランティアの方々とともに、通学・通園路や遊び場の安全点検を行ったり、教職員と共同しての防犯パトロールを行ったりしているところであります。 今後とも、これら諸活動を強化し、凶悪な犯罪の未然防止に努めてまいる所存であります。 ○議長(河野博行君) 秋野哲範君。    〔秋野哲範君登壇〕(拍手) ◆(秋野哲範君) 平成九年六月定例県議会に当たり、私は、県政クラブを代表し、二井知事並びに上野教育長に質問をいたします。 二十一世紀を目前に控え、我が国は、かつて経験したことのないほど、大きな時代の転換期を迎えております。 我が国の政治、経済、行政のあらゆる分野で、その構造上の疲労が露呈する一方、世界に目を転じると、ボーダレス化の進展により、まさに国の盛衰をかけた、メガコンペティションの時代に突入しているのであります。 世紀末の閉塞感や不安感を乗り越え、輝かしい新世紀を迎えるべく、今まさに、真の改革が求められているのであります。 このような時代の転換期の中で、本県を取り巻く諸情勢も、これまでにないほど厳しいものがあり、本県がさらなる発展をなし遂げるためには、先見性と柔軟性にすぐれ、夢のある県政を実現することが重要であると考えております。 我が会派といたしましても、県勢発展と県民福祉の向上のために、全力で取り組んでまいる所存でございます。 それでは、順次質問をしてまいりたいと存じます。 まず、行財政改革についてお尋ねいたします。 御案内のとおり、国・地方自治体は、ともに、バブル経済崩壊後の長期にわたる景気の低迷による税収の伸び悩みと、景気浮揚策として、公共事業を中心とした大型の補正予算を編成したことなどにより、財政状況は極めて厳しいものとなっております。 本県財政につきましても、県税収入の伸びが期待できない中で、基金の残高が大幅に減少するとともに、県債残高の増大から、公債費も増加を続けております。 こうしたことから、地方財政を取り巻く環境はますます厳しさを増すものと予測されており、本県においても、行財政改革の速度を速める必要があることは、論をまたないところであります。 私は、こうした本県の財政の健全化のためには、事業の優先順位を明確にして、施策の重点化を図ることや、これまで整備されてきた基盤を活用する観点から、ソフト面の施策をより充実するなど、効率的な歳出に努めることはもとより、組織の簡素合理化と適正な定数管理が必要であると認識しており、本県の行財政改革の一刻も早い実行を期待しているところであります。 そこで、まず、行政改革についてお尋ねいたします。 本県の行政改革につきましては、本年度は、政策調整室の設置を初め、商工、農林、水産の本庁組織が再編され、出先機関につきましても、県民局の設置、保健所と社会福祉事務所の再編が実施されたところであります。 そこで、今後の行政改革の残された課題のうち、私は、特に、三十七の出先機関と十四の外郭団体を抱える農林部関係の出先機関の見直しが急務であると考えております。 また、この見直しに当たっては、今、転換期を迎えている農林行政との整合性を図りつつ、知事の強力な指導力が必要であると考えるのであります。 そこで、知事は、今後、農林部関係の出先機関の改革にどのように取り組まれるおつもりなのか、まずお尋ねいたします。 行政改革の第二点は、職員の意識改革についてであります。 一般論として、これまでの行政の領域では、「この仕事にどのくらいコストがかかっているか」というコスト意識が、著しく希薄であると指摘されております。 私は、今後、行政を常にコストの面からとらえることが大切であり、職員のコストマインドのより一層の醸成を図っていくことが求められていると考えるのでありますが、職員のこうした意識改革をどのように進めていかれるのか、お尋ねいたします。 次に、財政改革に関してお尋ねいたします。 先般、国においては、国と地方を合わせて、国内総生産の五・四%にも上る単年度の財政赤字を、二○○三年には三%に縮小すべく、財政立て直しのための「財政構造改革の推進方策」が閣議決定されたところであります。 特に、今後三年間を「集中改革期間」として、「一切の聖域なし」の立場に立って、あらゆる分野で強力な歳出削減策が検討されており、本県財政への影響も極めて大きいものと予測されます。 また、地方財政そのものについても、交付税特別会計借入金、財源対策債を初めとする多額の債務残高の抑制や、地方財政計画の抑制等、地方財政健全化のための徹底した財政改革への取り組みが予定されております。 そこで、現在、県当局は、将来の県財政のフレームをある程度見通した、中期財政見通しの作成を開始されたところでありますが、こうした国の財政構造改革の動向や、現在、策定中の新たな長期展望への対応を含め、今後どのように取り組まれようとされておられるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、県勢の活性化について、二点お尋ねいたします。 明治以降の我が国は、太平洋国土軸に人口・諸機能を集中させることにより、経済的発展を見てまいりました。 しかしながら、人々の価値観やライフスタイルの変化といった時代の大きな変化を踏まえ、各地域の多様性を生かした、二十一世紀型の新しい国土軸形成の必要性が叫ばれております。 昨年十二月に、国土審議会計画部会から報告された「新しい全国総合開発計画・計画部会調査検討報告」の中では、国土構造を多軸的なものに転換することにより、国土構造のゆがみを直し、国土の均衡ある発展を図るため、仮称でありますが、西日本国土軸、太平洋新国土軸、日本海国土軸、そして北東国土軸の四つの国土軸のイメージが提唱されました。 同時に、それぞれの国土軸を結びつけ、相互の機能を高めるため、地域間における人、物、情報の活発な交流が行われる地域連携軸の展開が、戦略的な施策として位置づけられております。 そうした中、二十一世紀に向けて、人、物、情報の交流による本県の活性化を図るためには、本州と九州を結節する国土構造上枢要な位置を占め、また、大陸へも近接の地にあるという本県の地理的優位性を生かすべく、その基盤となる交通、情報・通信体系の整備等を進めるとともに、世界に広がる多様な国際交流を展開する必要があると考えます。 そこで、二点のお尋ねをいたします。 まず、山口県情報スーパーハイウェイ構想についてであります。 新しい情報通信技術の急速な発達など、世界的な規模で情報化が急速に進展する中、豊かで快適な県民生活と地域社会の活性化を図るためには、高度情報化の推進は重要であると考えております。 知事は、高度情報化の推進に向け、本県における情報スーパーハイウェイ構想を掲げ、今年度において、基本構想を策定されることとしておられますが、私は、この構想の策定に当たっては、公共情報システムだけでなく、本県産業の活性化や県民生活の利便性をも向上させるように、民間も利用できる方向で、高度情報通信のインフラ整備を考えていくべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。 次に、国際交流についてであります。 今日、高速交通網の発達や情報化の進展に伴い、人、物、情報等の流れが地球規模で拡大しておりますが、一方では、地球規模の環境問題、人口問題、食糧・エネルギー問題等が一段と深刻化しており、人類の英知を集めた解決が求められております。 先般、県において策定された「やまぐち国際化推進ビジョン」においても、国際化推進の基本方向の一つとして、地域からの国際協力の推進を掲げられておりますが、とりわけ、今後の国際社会の中で、本県の存在を高めるためにも、本県の持つすぐれた技術の特性を生かした技術協力や人づくりへの支援、国際ボランティアの養成などに、これまで以上の踏み込んだ対応が求められていると考えております。 そこで、このような地域からの国際協力について、県は、今後どのように具体的に取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。 次は、高齢化対策の中で、公的介護保険制度の導入に関する質問であります。 我が国の高齢化は、欧米先進国の数倍の速さで進展しており、今世紀中にも、世界一の高齢化率になると見込まれております。 高齢化の進展は、医療や、福祉ニーズの拡大や、年金受給者の増加に伴う社会的負担の増加をもたらし、その結果、それぞれの社会保障制度の見直しや新制度の導入など、新たな社会システムの構築が急がれております。 超高齢化社会が到来したときでも、老人が、いつまでも健康で、地域社会の一員として充実した生活を送っていただくことが理想でありますが、いざというときの備えに不安を抱えたままでは、本当の意味で充実した生活とは言えないのであります。 したがって、今後も高齢化が一層進展していく中で、特に大きな課題は、介護の問題であり、要介護老人の量的な増加とともに、病状の重度化、介護期間の長期化といった質的なニーズの多様化に対応できる、新しい介護システムの構築が求められております。 特に、本県においては、全世帯の三分の一以上に当たる三六・三%の世帯が、高齢者のいる世帯となっており、核家族化の進展とともに、高齢者のひとり暮らし世帯の割合もふえていることから、介護の問題は、もはや、だれもが避けて通ることのできない身近な問題となってきているのであります。 こうした中、国においては、西暦二○○○年の実施に向けて、公的介護保険の導入が、引き続き検討されることとなっておりますが、この制度が、高齢者の介護への不安や家族の負担を払拭するものになるよう、期待してやまないところであります。 しかしながら、実際の運用面において、幾つかの不安が残ることも事実であります。 最も懸念される点は、運営主体が市町村であり、サービス格差が生じないかということであります。 高齢化の率は、人口が少ない市町村ほど、その割合が高くなっており、全国的には、人口三万人以上の市町村では高齢化率が一三・一%であるのに対し、人口三万人未満の市町村では二○・二%となっており、特に、本県の町村部においては、二四・八%と、四人に一人が老人という、非常に高い水準に達しております。 こういう状況の中で、財政基盤が弱い、小さな市町村が、十分なサービスを提供できるのかどうか、甚だ疑問であります。 また、保険者である市町村がサービスの水準を決定する制度となることから、利用者の選択の機会が十分保障されるのか、さらには、適正な要介護認定の確保がなされるのか、といった問題が懸念されております。 そこでお尋ねいたしますが、公的介護保険が、「制度あって介護なし」の状況に陥らないようにするためには、サービス供給量の市町村格差の是正、制度運営に当たっての公平性の確保を図ることが重要であり、県の果たすべき役割は大きいと考えるのでありますが、今後の取り組みについて御所見をお伺いいたします。 次に、環境問題の中で、緊急に対応を要するダイオキシン対策についてお尋ねいたします。 ダイオキシンは、主として、燃焼過程で発生する猛毒の有機塩素化合物であり、体内に蓄積されると、がんや奇形を招くと指摘されているように、人体に及ぼす健康への影響は甚大なものがあることは、御案内のとおりであります。 我が国では、このダイオキシンの排出量全体の八割から九割を、ごみ焼却施設が占めるとされております。 これは、人口密度が高いことから、ごみをそのまま埋立処分するための土地を確保することが難しく、ごみを燃やして、灰として埋立処分することで、多量なごみを減量化して処理してきたことによるものであります。 現在、全国の地方自治体が保有しているごみ焼却施設は、千八百を超える数となっており、世界で最も多く、世界のごみ焼却施設数全体の三分の二が日本にあることになります。このことが、現在の日本のダイオキシン問題の背景となっております。 その発生の仕組みは、明らかになっていないものの、焼却炉内での不完全燃焼に伴い、塩素と有機物が反応してできると言われております。 また、その発生は、二十四時間常時燃やす連続炉ではわずかで、一日に八時間前後燃やす小型の間欠炉で多いとされております。 このため、厚生省は、本年一月に、「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」を取りまとめ、その中で、緊急対策を要する基準値として、一立方メートル当たり八十ナノグラムを設定し、これを上回る施設の早急な改善を指示しております。 さらに、恒久対策として、その基準値を、施設の形態に応じて、一立方メートル当たり○・一から五ナノグラムの間に設定し、ごみの減量化やリサイクルの推進、排出ガス対策、また、小規模施設の集約化によるごみ処理の広域化や、焼却灰の無害化処理等を求めております。 また、このガイドラインに沿って、廃棄物処理法の省令に、施設の「構造基準」や、焼却方法などの「維持管理基準」を盛り込むとともに、違反した場合に、操業停止や罰金といった罰則を科すなど、その法的規制を強化することも検討されていると聞いております。 さて、本県の状況については、さきの二月定例県議会において、このガイドラインに定める緊急対策を要する二施設については、今年度、施設を改修することにより、基準はクリアできるとの答弁がなされたところであります。 しかしながら、県内のごみ焼却施設十九施設のうち、十三施設が、一日当たりのごみ焼却能力が百トンに満たない小規模な施設であり、これらの施設は、連続運転が困難なこと等から、恒久対策の定める基準に適合できないことも想定されるのであります。 私は、県民の不安の解消と安全の確保を図る観点から、広域的な視点に立って、早急な対応が必要であると考えます。 そこでお尋ねいたしますが、知事は、ごみ焼却施設にかかわるダイオキシン対策について、今後どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次は、産業振興についてであります。 御案内のように、東アジア諸国の急速な経済発展を初めとする国際的な大競争時代が到来する中、我が国の産業は、今、大転換の時を迎えております。 各企業においては、新たなマーケットの開拓や新製品の開発、さらにはリストラなど、生き残りをかけ、必死の努力がなされております。 アメリカを代表する経済学者の一人であるレスター・サロー教授は、その著書の中で、「資本主義とは、ダイナミックな中小企業が、新しい条件に適合しない大企業に取ってかわる創造的破壊のプロセスである」と述べておりますように、激しい環境変化の中では、企業規模を問わず、機動性と柔軟性をあわせ持ち、かつ意欲的で、創造性豊かな企業家が活躍できる時代に突入していると言っても、過言ではないと思うのであります。 このような中、国においても、我が国の経済構造に危機感を強めており、二十一世紀に向けて、強靱な経済基盤を確立するため、六大改革の一つであります経済構造改革の行動計画を、去る五月十六日、閣議決定したところであります。 この行動計画の中では、我が国産業の高コスト構造の是正に加え、情報通信や医療・福祉分野など、今後、成長が見込める十五の分野について、新規産業創出環境整備プログラムを掲げるとともに、その育成、振興に必要な規制緩和や制度改革の具体策やスケジュールを示しておりまして、ぜひともこの計画が実現できるよう、全力を挙げて取り組んでもらいたいと考えるものであります。 一方、本県におきましては、今般、「明日の産業づくりに向けて」と題した「山口県産業活性化指針」を策定されたところであります。 この指針は、「変革、挑戦、そして協働」を施策展開の基本コンセプトとし、創造的人材育成プログラム、新産業創出・新規事業展開支援プログラム、産業創出プラットホーム構築プログラムという三つのプログラムを設定し、それぞれのプログラムごとに、多彩な戦略プロジェクトが提示されておりますが、既存産業に成熟感が漂い、産業の空洞化が懸念される中で、やはり新産業の創出や新規事業展開、さらには、情報産業や福祉産業など、未来型産業の育成のための施策が中心となっているようであります。 私は、社会経済情勢が激動するこの時期に、国の経済構造改革の行動計画と前後して、本県において、このような指針を策定されたことは、大変時宜を得たものと評価するものでありますが、これをいかに実現していくかが今後の重要な課題であると考えるのであります。 そこでお尋ねをいたしますが、知事は、この産業活性化指針に提示された諸施策の具現化に向けて、どのように取り組まれようとしているのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、教育問題についてお尋ねいたします。 我が国の高等学校は、教育の機会均等の理念や、教育を重視する国民性を背景として、著しく普及・発展し、現在では、中学校卒業者のほとんどを受け入れる国民的教育機関として、我が国の発展に大きく貢献してまいりました。 同時に、今日の科学技術の進歩、経済の発展は、社会を大きく変化させ、国際化、情報化、高齢化等が著しく進展する中で、高等学校に学ぶ生徒の能力・適性、興味・関心、進路希望等が、極めて多様化しているところであります。 私は、こうした状況の中で、これからの高校教育において、とりわけ、生徒一人一人の個性を尊重し、人間性を重視するために、学校・学科や教育内容等について、できるだけ幅広く、かつ多様なものが提供され、個性に応じて、生徒が主体的に選択できるような高校教育の仕組みを構築することが、極めて重要なことだと思うのであります。 県教委では、これまでにも、個性を生かす魅力ある学校づくりの一環として、福祉科や英語コースなどの特色ある学科やコースの設置、また、定時制・通信制への単位制の導入、さらには、来年四月からの総合学科の設置等、社会の変化や生徒の多様化に対応したさまざまな施策を着実に展開されておられます。 しかしながら、この三月に出されました「魅力ある学校づくり推進協議会」の最終報告にも示されておりますように、これから具体的に取り組まなければならない課題も山積していると思うのであります。 その一つに、生徒急減期に対する取り組みが挙げられます。 御承知のとおり、高等学校等への進学率が九七%を超える今日、本県の中学校卒業者数を見てみますと、近年では、昭和六十三年三月の約二万六千五百人をピークとし、現在の小学校一年生が高校に入学する平成十八年には、その半分になることが予測されております。 私は、こうした生徒減少期を迎える中で、生徒の個性を最大限伸長させる教育を推進するためには、多様な選択が可能となり、かつ多様な教育活動が実施できるような学校教育のシステムを、全県的な視野に立って見詰め直すとともに、県立高校の今後のあるべき姿について、総合的に検討し直す必要があると思うのであります。 そこでお尋ねをいたしますが、先般の二月定例県議会において、教育長は、県立高校が小規模化する中で、学校・学科等の地域バランスのとれた配置などの諸課題について研究、協議する旨答弁されましたが、来るべき二十一世紀における県立高校のあり方について、今後、どのように検討されようとしておられるのか、お伺いいたします。 以上で、私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○議長(河野博行君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 御質問に順次お答えを申し上げます。 まず最初に、行財政改革に関する数点の御質問でございます。 まず、現下の県政の重要課題であります行政改革についてでありますが、私は、どこまでも、県民や市町村に視点を置き、簡素で効率的な行政の実現を目指して、強力に推進していく考えであります。 こうした考え方のもとに、本年度では、お示しのありました、農林関係出先機関の見直しに重点的に取り組むことといたしておりますが、今後、新たな農林業・農山村振興の基本構想に基づく振興施策を効果的に推進していくためにも、このたびの本庁組織の再編に続きまして、第一線機関である出先機関を再編していくことが必要であります。 このため、現在、行政改革推進委員会等の意見を聞いているところでありますが、現行の農業改良普及センター、土地改良事務所、家畜保健衛生所、林業事務所の四つの出先機関に対しましては、縦割りによる管轄区域や事務所の配置、さらには、相互の連携や現地処理体制のあり方等に関して、さまざまな御指摘をいただいているところであります。 したがいまして、県としては、これらの出先機関の見直しに当たりましては、受け手の立場に立って、総合的に行政サービスを提供し、施策事業を、地域の実情と特性に即して、一体的、効率的に実施ができますように、社会経済情勢等の変化も踏まえながら検討していきたいと考えております。 いずれにいたしましても、この問題につきましては、昭和四十年代以来の体制の見直しともなりますことから、今後、県議会を初め、市町村、関係団体等の意見を十分お聞きをし、そのニーズと期待に的確にこたえ、時代にふさわしい体制となるよう、鋭意取り組んでいく考えであります。 また、行政改革を真に実効あるものとするためには、こうした機構改革とあわせて、お示しのとおり、職員の意識改革が重要であると考えております。 このため、今次行革におきましても、職員研修の充実や民間企業等への職員の派遣などにより、積極的に職員の能力開発と意識改革を進めており、本年度からは、民間サービス業での体験研修も開始をいたしました。 特に、コスト意識の醸成に向けては、事務事業のスクラップ・アンド・ビルドの徹底や、民間委託等を推進することにより、費用と効果を意識した行政運営に努めます一方、全庁的に、需用費等の身近な経費削減や、事務改善による時間コストの削減に努めるなど、日ごろから職員に意識の改革を促しております。 今後とも、厳しい財政状況の中で、行政の効率化とサービスの向上を期するためには、最少の経費で最大の効果を上げることを基本に置いて、新しい県づくりの担い手にふさわしく、県民の信頼にこたえるよう、一層の意識改革が必要であると考えております。 あらゆる機会を通じて、幹部から第一線の職員に至るまで、すべての職員に強く啓発をしていく考えであります。 次に、中期財政見通しについてのお尋ねであります。 御案内のとおり、国・地方を通じて、財政状況が危機的状況にあります中で、先般、国におきましては、歳出のあらゆる分野における具体的な数値削減目標等を内容とする「財政構造改革の推進方策」を決定したところであり、今後、地方としても、国の財政構造改革に呼応して、財政健全化を着実に進めていく必要があります。 一方、県勢振興の基本目標であります「二十一世紀に自活できるたくましい山口県の創造」を実現していくためには、現在策定中の新たな長期展望を、計画的、かつ着実に推進していかなければなりません。 このような状況の中で、本県の中期財政見通しを作成していくわけでありますが、作成に当たりましては、具体的には、まず全体の枠組みとして、地方財政が、国の予算や地方財政計画に大きく影響を受けますことから、公共投資、地方財政等の歳出削減目標や、国庫補助金、地方交付税、地方債等の歳入抑制基調など、国の財政構造改革の内容を十分視野に入れていく必要があります。 また、現在策定中の新たな長期展望を着実に推進していくためには、実行計画に掲げる未来創造戦略を初めとする大規模事業等の財源調整等を行いながら、見通しに的確に反映をしていく必要があります。 また、このような取り組みに加えて、歳入歳出全般にわたる洗い直しを行うこととし、内部管理経費の節減、事務事業や施策的経費の見直し等の歳出抑制に向けた取り組みや、各種の歳入確保に向けた取り組みに加え、県債の発行並びに償還の両面にわたる計画的管理等の検討を行っていかなければならないと考えております。 いずれにいたしましても、中期財政見通しの作成に当たりましては、現在、検討を行っておりますこれらの取り組みの結果を、まず、平成十年度当初予算編成に反映させていきますとともに、新たな長期展望の計画的な推進や、財政健全化の指針となり得るような、実効性のある見通しとなりますように、取り組みを進めていきたいと考えております。 次に、山口県情報スーパーハイウェイ構想についてのお尋ねでありますが、近年、情報通信技術の発展に伴い、地域経済社会のあらゆる分野で情報化が急速に進展しつつあり、本県においても、高度情報通信社会の到来に向けての的確な対応が求められております。 このため、現在、二十一世紀に向けて、本県の情報化の指針となる「山口県総合情報化ビジョン」の策定に取り組んでおりますが、お尋ねの山口県情報スーパーハイウェイ構想につきましても、このビジョンに位置づけますとともに、今年度、その具体的な構想づくりに着手をしたところであります。 この構想は、光ファイバー等を活用し、映像、音声等のマルチメディアに対応できる情報通信ネットワークの整備や、医療、福祉、産業等の各分野への活用方法など、本県の高度情報通信インフラの整備に向けての取り組みの方向性を示すものであり、近く産・学・官からなる、学識経験者による構想策定委員会を発足させる予定であります。 構想の策定に当たりましては、御指摘の民間の利活用も十分視野に入れながら、県民の利便性の向上や産業の活性化に資することなどを視点に置き、検討を進めていくことといたしております。 私としては、情報化の推進は、二十一世紀に向けて、県政の重要な政策課題と認識をいたしておりますが、多額の財政負担を伴うものであり、国の情報通信政策の動向を十分見きわめながら、市町村との連携のもとに、県民の情報化ニーズを踏まえながら、高度情報通信社会の到来に向けて、各種情報化施策を積極的に推進をしていきたいと考えております。 次に、今後の地域からの国際協力の具体的な取り組みについてであります。 近年、社会、経済全般にわたる国際化の急速な進展を背景として、地域における国際的活動につきましても、従来の友好親善を主体とする交流から、国際協力、国際貢献を主体とする交流へと、新たな視点に立った対応が求められております。 このため、本年三月、新たな国際交流の指針として、「やまぐち国際化推進ビジョン」を策定し、その中で、地域からの国際協力の推進を、今後の国際化推進の基本方針の一つとして掲げました。 県としては、これまでも、海外技術研修員や県費留学生の受け入れ、また、青年海外協力隊派遣への支援など、主として、「人づくり」に寄与してきたところでありますが、今後はこのビジョンに基づき、共通の課題を抱える中国山東省や韓国慶尚南道と共同して、酸性雨等の地球環境問題について調査研究を行うほか、本県の人材やノウハウを活用しながら、農林、水産、土木等の各分野における専門的な技術視察団や技術研修生の受け入れの拡充、さらには、専門家の派遣など、技術協力や人づくりの支援を進めていきたいと考えております。 また、近年、県内におきましても、発展途上国への医療支援活動や教育支援活動など、多様な国際協力活動が、民間援助団体、いわゆるNGOを中心として盛んになっておりますことから、市町村や山口県国際交流協会と連携しながら、県内NGOとのネットワークづくりや、国際協力に関する情報提供など、国際ボランティア活動の支援にも努めることといたしております。 今後とも、相互依存の深まる国際社会の中で、お互いの地域の発展を目指し、本県の特性を生かした国際協力活動を積極的に推進していきたいと考えております。 次に、高齢化対策についてのお尋ねであります。 本格的な高齢社会の到来を目前に控え、新たな介護システムの構築を図ることは、極めて重要な課題であると認識をいたしております。 このため、県としては、これまでも高齢者保健福祉計画に基づく介護サービスの基盤整備が図られるよう、市町村に対する指導、支援に努めてまいりました。 現時点では、計画全体としては着実に進展をしておりますが、一方においては、計画の進捗に地域差が見られるところであります。 したがいまして、今後、県としては、介護保険制度の平成十二年度からの施行をも見据え、サービスの公平性を図る観点から、特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、デイサービスセンターにつきましては、未設置町村の解消、老人保健施設や訪問看護ステーションにつきましては、地域バランスのとれた設置促進、さらにホームヘルパーの計画的増員を進めるなど、小規模市町村にも十分配慮しながら、一層の基盤整備に努めてまいりたいと考えております。 また、介護保険制度の導入に向けて、今年度におきましては、要介護認定やケアプランの作成を、老人保健福祉圏域ごとの九つの市町でモデル的に実施をいたしますとともに、サービス利用について、専門的な相談・調整等を行うケアマネージャーの養成を行うことといたしております。 県下すべての市町村において、新しい制度の円滑な導入が図られるよう、引き続き、公平性の確保に向けた体制の整備や、質の高い人材の確保などについて、市町村を積極的に指導、支援してまいりたいと考えております。 さらに、財政や人的基盤の弱い過疎地域等におきましては、広域的な取り組みの必要性も考えられますので、今後、関係市町村の意見を聞きながら、県としての対応策を検討していく考えであります。 なお、介護保険制度につきましては、引き続き、国において論議されることとなっておりますので、国会での審議動向や制度の詳細についての検討状況を注視しつつ、市町村等関係団体の意見をも踏まえながら、一層の基盤整備に必要な財源措置や、公平性が確保される制度設計等について、全国知事会等を通じて、国に要請してまいりたいと考えております。 今後とも、県としては、市町村や関係団体と一体となって、県下すべての市町村におきましても、介護を必要とする高齢者が、そのニーズに応じて、保健・医療・福祉の連携のとれた適切なサービスが受けられますよう、介護対策の充実に全力で取り組んでまいります。 次に、ごみ焼却施設に係るダイオキシン対策の今後の取り組みについてのお尋ねであります。 ダイオキシン対策は、県民の不安を解消し、健康保持を図る上からも極めて重要な課題であり、早期に対策を講じていかなければならないと考えております。 まず、ガイドラインの緊急対策を必要とする二施設につきましては、既に燃焼管理の徹底等を図っており、さらに排ガス処理設備等の改善を行い、本年十一月末までには、緊急対策の基準を達成することができます。 また、県内十九の焼却施設の恒久対策についてでありますが、焼却能力百トン以上の五施設及び百トン未満の八施設が排ガスの基準値を超えており、また、全施設において、焼却灰に含まれるダイオキシンの削減対策が必要となっております。 このため、まず、排ガスにつきましては、ごみの排出抑制やリサイクルを推進し、焼却するごみの量を減らしますとともに、焼却施設の適切な改善等を実施し、また、焼却灰につきましては、溶融固化等の高度処理施設の整備を推進するため、国庫補助制度等を活用し、恒久対策の基準を早急に達成できるよう、市町村等を指導いたしているところであります。 さらに、将来対策として、小規模施設の集約化や、新しい技術の導入等による恒久的なダイオキシン対策を推進する必要があります。 このため、本年度、既に市町村と県からなる「廃棄物広域対策協議会」を設置し、ごみ処理の広域化等の検討協議に着手したところでありますし、今後、七月設置予定の学識経験者等からなる、ごみ処理施設に係る「広域化検討委員会」の意見をも踏まえながら、市町村のコンセンサスを得て、本県のごみ処理の中長期的な基本方針となる広域化計画を、来年度策定することにいたしております。 県としては、この広域化計画に基づき、ダイオキシン対策のみならず、本県の総合的なごみ処理対策を推進し、県民の健康の保持と環境負荷の少ない循環型社会の構築に向けて、積極的に取り組んでまいります。 次に、このたび策定した「産業活性化指針」に示したプロジェクトの具現化についてのお尋ねであります。 この産業活性化指針は、経済のグローバル化や世界規模での大競争時代の到来等、産業を取り巻く社会経済情勢が大きく変化いたします中で、新たな視点と発想のもとに、本県産業の目指すべき方向と、今、この時期にこそ重点的に取り組むべき施策・事業を戦略プロジェクトとして提示をし、二十一世紀に向けて「活力あるたくましい産業づくり」を目指した、新たな産業施策の展開を図ろうとするものであります。 この指針におきましては、お示しのとおり、「変革、挑戦、協働」という基本コンセプトのもとに、十の戦略プロジェクトを提示いたしておりますが、このうち"しっかり聞いて"キャンペーンでも要望が寄せられた、次代を担う、創造的な人材の育成のためのベンチャースクールの開設と、企業からの要望の強い県内産品の利用促進と、県内企業間の取引拡大を図るための各種企業情報を提供する「産業情報マート」の構築や、「企業交流フェア」の開催事業等につきましては、この指針を先取りする形で、既に本年度の事業として取り組んでおります。 また、「情報スーパーハイウェイ構想」の推進による高度情報通信インフラの整備や、マルチメディア時代を担う創造的な人材の育成を図る「はいぱあ寺小屋構想」、マルチメディアを核とした、人、情報、技術の交流拠点となる「マルチ・コンベンションセンター構想」等の大型プロジェクトにつきましても、早速、本年度事業として、事業化や実現可能性についての調査・研究を実施いたしております。 私は、この指針に提示をした大型プロジェクト等につきましては、現在、策定中の新しい長期展望においても、主要プロジェクトとして位置づけ、一つ一つ着実に具現化することにより、活力あるたくましい産業づくりを進めていきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(河野博行君) 上野教育長。    〔教育長 上野孝明君登壇〕
    ◎教育長(上野孝明君) これからの県立高校のあり方に関連してのお尋ねでございます。 お示しのように、戦後五十年を経た今日、高等学校は、多様な個性を持つ生徒が学ぶ国民的教育機関となり、高校教育には、多様化した生徒や、これを取り巻く社会の変化に適切に対応しながら、教育水準を維持向上させ、生徒一人一人の個性、能力を一層伸長させることが強く要請されております。 このような要請にこたえるためにも、県教育委員会といたしましては、国の動向や中央教育審議会の答申等を踏まえまして、本県の実情に応じた高校教育改革を推進するために、平成七年度に「魅力ある学校づくり推進協議会」を設置をいたし、二カ年にわたり協議いただいたところであります。 この報告の中で、新しいタイプの高校の設置や、通学区域のあり方などの御提言をいただいておりますけれども、既に発表いたしておりますとおり、平成十年度に、宇部西高校に総合学科を設置するなど、具体化も進めているところであります。 この推進協議会の報告や、ただいまの御質問においても御指摘いただきましたように、生徒数の減少に対する対応につきましては、中長期的視点に立って検討していかねばならない課題であると、私も考えているところでございます。確かに、生徒急減の中で、一部高等学校では小規模化が進み、これに伴い、生徒の多様化に対応して、選択科目を幅広く開設することや、活力にあふれた学校行事を実施することが困難になるなど、さまざまな問題が顕在化してきているのも事実であります。 そのため、地域の特性を生かした学校の活性化方策や、均衡のとれた学校・学科の配置や、適正な学校規模等の諸課題について検討していただくために、本年度、新たに「県立高校の在り方検討協議会」を設置することとしたものであります。 そこでは、定時制・通信制の課程をも含め、二十一世紀に向けた県立高校のあり方について、二カ年にわたり協議していただくことといたしております。 なお、協議会の委員は、学識経験者、経済界代表、PTA代表等各界各層から構成いたしますけれども、より幅広く御意見をいただくため、委員二十二名のうち四名については、公募によって、一般県民の方にお願いすることといたしております。 県教委といたしましては、今後、この協議会からいただく報告を十分踏まえ、今後の県立高校のあり方に関する総合的な計画を策定をいたし、生徒一人一人の個性を生かす教育の推進に努力してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(河野博行君) この際、暫時休憩をいたします。 再開は、午後一時の予定であります。    午前十一時四十四分休憩    午後一時一分開議 ○副議長(桑原孝行君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 △日程第二代表質問 △日程第三議案第一号から第二十一号まで ○副議長(桑原孝行君) 日程第二、代表質問を行い、日程第三、議案第一号から第二十一号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。村木継明君。    〔村木継明君登壇〕(拍手) ◆(村木継明君) 六月定例県議会に当たり、私は、公明県議団を代表して、当面する県政の課題につきまして質問いたします。 さて、御存じのように、さきのイギリス総選挙では労働党が圧勝いたしました。イギリス国民は、改革を推し進める力に欠けた保守党政権の継続を許さず、「決断の政治」を労働党ブレア政権に託したのであります。 また、イギリスに続きフランス総選挙においても、「決断の政治」が勝利しております。 このことは、いわゆる先進各国においても国民の多くが、二十一世紀を目前に世界が大きく変化する中で、従来の政策や政治手法の踏襲ではなく、新しい政治を求めているということの結果だと思うのであります。 そして、このような新しい政治を求める流れは、我が国においても同様であります。 二十一世紀を目前にし、社会経済情勢が大きく変わろうとする中で、今国民が政治に求めているのは、国民、住民の声を真摯に受けとめ、そして、国民、住民が納得する政策を決断し、実行することだと考えるものであります。 さて、二井県政が誕生してから、はや一年近くが経過しようとしております。 二井知事は、就任後初の昨年九月県議会の所信表明で、「二十一世紀に自活できるたくましい山口県の創造」を新たな県勢振興の基本目標とし、その実現に向けて、県勢活性化のための諸課題に積極的に取り組んでまいりたいと、県政に取り組むみずからの信条と決意を表明されたのであります。 そして、「しっかり聞いて しっかり実行」をモットーに、県政の運営に当たってこられました。 今、地方は、二十一世紀を間近に控え地方分権の大きな潮流の中で、みずからが将来に向けての明るい展望を切り開いていかなければならない重要な時期を迎えております。このような時期だからこそ、県政の運営に当たっては、先ほど述べましたように、県民の声を真摯に受けとめ、県民の理解を得ながら、県民が求める政策を英断をもって実行することが必要でありますが、知事就任以来の十カ月を振り返って、どのように感じておられますか、知事のお考えをまずお伺いいたします。 次に、今月八日、今後の日米の防衛協力の方針を定める「ガイドライン」の見直しにかかわる中間取りまとめが公表されたところであります。 このガイドラインの見直しについては、日本の有事対応から周辺有事対応に重点が移っているのが特徴とされており、特に、日本周辺の有事の際に、米軍に対する補給・輸送支援を初めとする機雷掃海、臨検等、現時点において四十の検討項目が盛り込まれております。 また、政府の憲法解釈で禁じている「集団的自衛権の行使」との関連から、合憲か違憲かの判断が難しい、いわゆる「グレーゾーン」の問題や、中国を初めとする周辺諸国への配慮等々、今後、検討すべき重要課題が数多く含まれております。 現在、こうした検討項目について、国政レベルでさまざまな論議が展開されているところでありますが、我が党といたしましては、平和を守る立場から、いたずらに憲法の拡大解釈は、容認できないところであります。 また、地方自治体としても、県民生活や地域の経済活動を守る観点から、今後、対応を検討すべき問題もあるのではないかと考えております。 特に、本県には米軍岩国基地があり、自衛隊防府基地、小月基地その他幾つかの通信施設があります。 また、地理的にも大陸と一衣帯水の地であり、三方を海に囲まれ、数多くの港湾施設を有していることから、有事の際に、これら施設の使用が県民生活や県経済へ及ぼす影響が懸念されるところであります。 そこで、県当局におかれましては、この問題は、ただ国の防衛問題にかかわることだといって避けるのではなく、県民の生命と財産を守る立場から、県としての対応策を考えるべきであります。 そこでお尋ねいたしますが、知事は、今回のガイドライン見直しについて、どのような所感をお持ちなのか、また、今後どのように対応していかれるのか、お示しいただきたいのであります。 次に、国際交流についてお尋ねいたします。 今日、ボーダレス化が急速に進み、国の枠を越えた相互依存関係が深まってきており、地方自治体による国際交流の果たす役割の重要性も、認識されるようになってまいりました。 私は、本当の豊かさを実感できる山口県の創造のためには、国際交流もその有効な手段の一つではないかと考えております。 とりわけ、県民一人一人が行う草の根レベルでの交流は、日本全体で見れば、諸外国との無数の交流チャンネルができ、信頼関係ができ上がるということであります。 これは、お互いの顔が見える交流であり、地域における国際交流を進める上で、大きな役割を果たすものであります。 しかし、ここで忘れてならないことは何か。それは、真の国際化であり、世界に通用する常識をもって進んでいかなければならないと思うものであります。 それでは、真の国際化とは一体何でありましょう。私は、インターネットが国際化を達成するわけではないのであって、問題はそれを使う人間が、どのような態度で世界と会話していくかであろうと思うものであります。 さて、二井知事は、このように国際化が急速に進んでいる中、新しい国際交流ビジョン、いわゆる「やまぐち国際化推進ビジョン」を策定され、その中で、本県と山東省、慶尚南道による、いわゆるトライアングル交流を進めんとされておりますが、この交流の推進を図る上での基本姿勢や、世界の常識をもって対応していくことが問われてくるものと思います。 そこで、この国際交流についての知事の基本的理念を、まず、お示し願いたいのであります。 また、知事は、このトライアングル交流を進める中で、三者が将来の交流について話し合う「知事サミット」をこの秋にも、山口県で開催されようとしておられます。 私は、このトライアングル交流を進めるに当たっては、例えば公害防止技術などの環境分野での協力でありますとか、地域における国際理解の増進に極めて重要な役割を果たすとともに、帰国後は地域のよき理解者として、国際交流のかけ橋となる留学生などの人づくりへの支援、あるいは、県民主体の多彩な交流の促進が重要であると考えるものであります。 そこで、お尋ねいたしますが、知事は、三県省道トライアングル交流を進めるに当たって、どのような交流を行おうとしていかれるのか、お伺いいたします。 次に、環境行政の中で、産廃問題についてお尋ねをいたします。 近年、産業廃棄物の処分場や、不法投棄をめぐるトラブルが全国的に広がる中で、「あってなきがごときザル法」と批判されていた、廃棄物処理法の改正案が、今月十日の衆議院本会議で可決成立されました。 同改正法では、産業廃棄物処理場の維持管理にかかわる業者、自治体の責任を明確にする一方で、不法投棄の罰則を強化しております。 その中で、同改正法の主なねらいの一つは、産業廃棄物処理場への住民の理解と信頼性を深めることにありますが、最も住民が危惧する不安は、環境汚染の問題であります。 改正法では、処分場の設置許可申請に際しては、周辺の生活環境への影響を事前に調査し、都道府県知事が申請書などを告示・縦覧させるとあります。 また、関係住民が、縦覧期間満了後二週間以内に意見書を提出できるとするとともに、都道府県知事は、生活環境への配慮が適正に行われているか、専門家の意見を聴取するとしております。 しかし、問題なのは、生活環境影響調査が環境アセスメント法ではなく、改正廃棄物処理法の省令によって行われるとしているのであります。 また、地域住民が反対の意思表示を行った場合、反対意見の扱いを法的に担保されていないのであります。 そこでお尋ねするわけでありますが、私が申し上げたいのは、環境調査が通り一遍のものだったり、意見聴取が形式的なものに流されてはならないということであります。 住民の納得を得られる環境調査と、県当局として、徹底した情報公開の仕組みをつくるべきと考えるのであります。 さらに具体的には、生活環境影響調査では、例えば河川の水質調査はもちろんでありますが、地下水まで対象にするとか、また、地域住民の反対意見を聴取した場合、どのように対応されるのか、さらに住民の同意取得について、どのように指導されるのか等々、法改正に伴う今後の対応について、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、同改正法では、不法投棄に関して罰金を最高一億円に引き上げ、不法投棄の原状回復について、排出事業者にまで自治体が措置命令ができるようにし、撤去費用を負担するため、排出事業者等で基金を創設することになりました。 しかしながら、何よりも重要なことは、不法投棄を許さないことであります。 県当局におかれましては、毎年この六月に、市町村、県警察と連携して不法投棄防止パトロールを実施されておりますが、これだけでは一過性のものでありまして、不十分であります。 そこでお尋ねをいたしますが、今後の未然防止対策、原状回復対策等について、さらに強化を図る必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、産業廃棄物の最終処分場の問題であります。 現在の産廃の処分につきましては、廃棄物の種類によって、御承知のように、「安定型」、「管理型」、「遮断型」に分けられております。 しかし、今回の改正法では、最終処分場の一定の情報公開が盛り込まれてはいるものの、面積の規制規模未満の、いわゆるミニ処分場の対策や処理基準、構造維持管理基準の見直しといった重要なことは、すべて政省令改正事項にゆだねられ検討中とされております。 ゆえに今後、県当局のきめ細かな対応が、一層重要になってくると考えるものであります。 厚生省のまとめによりますと、九三年度末の産業廃棄物総排出量は、三億九千七百万トンで、前年四億三千万トンからほぼ横ばいの状態であります。 しかし、推計された最終処分場の残余年数は、首都圏で○・八年、近畿圏で三・四年で、全国平均では二・三年と既に限界に達しているのであります。 ちなみに、本県におきましては、九五年度末で約七年の状況でありますが、県内の一部の地域においては、既に飽和状態にあるのであります。 この産廃問題は、県民生活に直結した問題であり、避けて通ることのできない重要かつ緊要の課題であります。 こうした現状にかんがみ、我が党は、今日まで長年にわたり本会議、委員会等で、この問題につきまして数々の意見、提言をしてまいりました。その中で、広域最終処分場につきましては、県当局として、第三セクター方式による整備を進めるとしておりますが、これを早急に促進しなければなりません。このためには、県が財政的支援を含む強力な支援体制を明らかにする必要があると考えます。 そこでお尋ねをいたしますが、広域最終処分場の整備促進に向けて県の主導的役割の発揮が求められている中で、どのように対応されていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、福祉行政について数点お伺いいたします。 まず、高齢者福祉の問題についてであります。 本格化する高齢社会において、県民が安心して暮らしていくためには、高齢者福祉サービスが十分に提供できる体制が整備されていることが重要であります。 九三年度末までに完了した、全国自治体の老人保健福祉計画の集計値が、ゴールドプランの目標値を大幅に上回ったため、新ゴールドプランができました。御高承のとおりであります。 この新ゴールドプランにおいては、平成十一年度までの介護サービス基盤の整備目標を掲げるとともに、施策の基本的枠組みの中で、利用者本位、普遍主義、地域主義などが、基本的理念として明記されているところであります。 また、この新プランにより、九五年度から目標の九九年度までの総事業費は九兆円を上回っており、その財源措置については、九六年度以降の予算で一定の追加的措置が行われてきているところであります。 ところで、この新ゴールドプランの地方版である老人保健福祉計画は、二十一世紀の高齢社会に対応すべく、各地域のニーズや実態を的確に踏まえ、在宅福祉サービス、老人保健事業、さらに施設対策を総合的に計画的に推進しようとするものであり、この計画期間は、九四年度から九九年度までの六年間となっているところであります。 そこで、中間年に当たる本年、我が党独自で、在宅福祉の三本柱のホームヘルプサービスから訪問看護等のソフト事業、特別養護老人ホーム等の施設整備などについて、県下十四市の進捗状況を把握し、僣越ではございますが分析を試みたところであります。 その一例を挙げてまいりますと、ホームヘルプサービスでは、岩国市では人材確保が一○○%達成しているのに、徳山市は目標水準が高過ぎることもありまして五○%以下、デイサービスでは、宇部市など四市が目標達成しているのに、萩市は二○%台、ショートステイでは、美祢市など十市が達成しておりますが、下松など二市が赤信号であります。 また、老人訪問看護は、下関市など五市が達成しているのに、岩国市など六市がまだゼロ、特別養護老人ホームについては、全市で設置されておりますが、老人保健施設は、新南陽市など二市がゼロ、ケアハウスは、下関市、宇部市、山口市及び新南陽市を除く十市はまだ整備されておりません。 そこで、先ほど申し上げました新ゴールドプランの基本理念や、老人保健福祉計画の中間点での進捗状況を踏まえ、介護サービス基盤の総合的整備や介護基盤整備のための支援施策の総合的実施について、知事はどう対応されようとしているのか、伺いたいのであります。 福祉に関する二番目の質問は、子育て支援の問題であります。 少子化の進行は、今や全国的な問題ではありますが、山口県においては、特にその傾向が顕著にあらわれております。 本県における合計特殊出生率は、近年低下傾向にあり、平成六年にやや回復したものの、平成七年においては再び低下に転じて一・五○となり、今後も低下の傾向をたどることが懸念されるのであります。 少子化は、今後の社会や経済に深刻な影響を与えるばかりでなく、子供たち自身の精神的成長にも少なからず影響を与えるものであります。 このため、我が党は、子育てに対する新たな施策として、「子育て減税」を国に対して強く求めているところでありますが、子供を持ちたいと思う人が安心して産み育てられるよう、子育てに対する社会的な支援の強化を図っていくことが、いよいよ重要になってきたと思うのであります。 ここで、子育て支援について、二つの観点から質問をさせていただきます。 まず、一点目は、女性の職場進出の支援の問題であります。 近年、女性の職場進出が一層増加するとともに、その就労形態が多様化する中で、ゼロ歳児保育や時間延長型保育などの特別保育事業は、非常に県民のニーズが高い施策であります。 しかしながら、平成八年度における本県の乳児保育事業の実施率は四五・七%、午後七時までの時間延長型保育事業の実施率は一九・九%と、依然十分な状況とは言えません。 これらの特別保育事業は、仕事と子育ての両立支援を図る上で、これからますます重要になってくるものと考えるものでありますが、現状を踏まえ、県としては今後どのように取り組んでいかれるのか、お示しいただきたいのであります。 子育て支援の二点目は、子育てに対する経済支援の問題であります。 経済的な支援については、先ほど申し上げた子育て減税のような、直接的な支援措置が有効であることは言うまでもありませんが、幸いなことに、本県においては、我が党が先頭に立って無料化を進めた乳幼児医療費の助成制度がございます。 医療保険制度の今後の動向が不透明な中で、この制度に対する県民のニーズと期待は、非常に大きいものがあります。 そこで、県としても、乳幼児医療費助成制度を拡充し、現在設けられている所得制限の引き上げを図るとともに、助成対象を六歳児まで拡大することがぜひとも必要ではないかと考えるものでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、宇部テクノポリスについてお尋ねをいたします。 御存じのとおり、宇部テクノポリスは、昭和五十九年に全国のトップグループの一員として地域指定を受けて以来、既に十三年を経過いたしましたが、その間、第一期計画、第二期計画に沿って、山口東京理科大学や超高温材料研究センターの誘致、さらには山口テクノパーク、美祢テクノパークを初めとする良質な産業団地の整備など、さまざまなプロジェクトが推進されてきたところであります。 また、最近では、この四月には新工業技術センターが着工されましたし、五月には宇部テクノポリスのシンボル的プロジェクトであります宇部新都市の街開きも行われ、ハード面での整備は、ほぼ計画どおり進んでいるようであります。 また、ソフト面においても、多彩な支援策の実施により中小企業の技術力も向上しつつあり、一定の成果を上げていると思うのであります。 しかしながら、第二期開発計画が承認されてから既に五年以上が経過しており、アジア諸国の台頭などによる経済のグローバル化の伸展や、国内産業の空洞化問題など、国内外の社会経済情勢が大きく変化しておりまして、現在の第二期開発計画で想定していた環境と近年の動向には、かなりのギャップが生じてきているのではないかと考えるものであります。 このような中で、国においては、地方自治体が新たな開発計画を策定する際の基準となるテクノポリス開発指針を、今年四月、改定したところであります。 この改定された開発指針を見ますと、最近の経済事情の変動を反映して、新規産業の創出や国際的に魅力ある立地環境の整備など、経済構造改革の推進をねらいとしております。 具体的には、テクノポリス地域外の研究機関等との連携による研究開発の活発化、起業化を促進するための総合的な支援体制の構築、金型製作やプレス加工など基盤的技術のレベルアップ、さらには、外国企業も対象とする高度技術開発企業の立地促進の四点が中心となっており、ソフトな施策の充実を求める内容となっているようであります。 我が党といたしましても、従来から技術の高度化や新産業の創出など、ソフト面の施策の充実を提言してきたところでありまして、今回変更された開発指針については、一定の評価をいたしているところであります。 したがいまして、宇部テクノポリスについては、これまでの成果を踏まえ、ソフト面に力点を置いたユニークな第三期開発計画を策定されることを切に期待しているところであります。 そこでお尋ねいたしますが、知事は、これまでの宇部テクノポリスの成果をどのように認識されているのか、また、この認識を踏まえ、第三期開発計画の策定について、その方向性を含め、どのように取り組もうとされているのか、お示しいただきたいと思います。 最後に、教育問題についてお尋ねをいたします。 言うまでもなく、教育は人づくり、国づくりの基本であります。そして今、二十一世紀を担う子供たちが、偏差値にとらわれず、自立した個性あふれる人間に成長できる、ゆとりある教育が強く求められていると考えるのであります。 こうした中、一昨年、第十五期中央教育審議会の後半の審議では、「中高一貫教育の公立校への導入」という大きなテーマをめぐって論議が交わされ、その中で、「画一的なものでなく教育の多様化の一つとして導入すべきとの考えが大勢を占めた」と伺っております。 そして、先月三十日、中教審の第二次答申案が発表されました。 今回の答申案では、その基本姿勢として、「全員一斉かつ平等に」との発想から、「それぞれの個性や能力に応じた方法、内容、仕組み」という考え方への転換、次に、「同質志向や横並び意識、さらには過度に年齢にとらわれた価値観からの転換」、その上で、子供たちの選択機会、学校や地方自治体の範囲のいずれをも、さらに拡大していくことを提言しているのであります。 また、現在の大学入学年齢は、十八歳以上となっておりますが、数学と物理の分野に限り、希有な才能を持つ十七歳以上の生徒に推薦などによる「飛び入学」を認めるように提案をいたしております。 いずれにいたしましても、今回の答申案で注目されますのは、「中高一貫教育」であります。 形態としては、六年制中等学校、独立した中高の併設、現在の中高が連携する方式等が考えられるのであります。 今回の中教審の答申と並行して、既に全国の都道府県のうち、八都道府県が導入の方向で既に検討を初めております。他の都道府県でも、八割近くが中高一貫教育について検討を初め、全国的な動きが活発化いたしております。 しかしながら、現行の教育制度の枠組みの中ではおのずと限界があり、教育の充実という国民的課題をなお一層充実させるためには、国において十分な財源措置等が重要なキーポイントであります。 私も、同僚議員から、宮崎県の五ケ瀬町で公立の中高一貫教育を実施している学校の様子を聞いたところであります。大変ユニークな教育方針で、地域住民と一体となり、子供たちも伸び伸びと個性を発揮して学んでいるとのことでありました。 そこでお尋ねをいたすわけでありますが、上野教育長におかれましては、中高一貫校の設置について、御見解と今後の取り組みについて、御所見をお示しいただきたいと思います。 以上で代表質問を終わります。(拍手) ○副議長(桑原孝行君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) お答えを申し上げます。 最初に、県民の声を真摯に受けとめ、県民が求める政策を実行することについて、これまでの県政運営を振り返っての所感はどうかというお尋ねであります。 私は、県政はどこまでも県民の立場に立って、県民のために運営をされなければならないものであり、その運営に当たっては、県民の皆様の御意見や御要望をしっかりお聞きをし、それを県政に積極的に反映をしていくことが重要と考えております。 このため、私は知事就任以来、「県民が主役となる県政」の基本姿勢のもと、「しっかり聞いて しっかり実行」をモットーに、審議会委員等の公募制度や、"しっかり聞いて"キャンペーンの実施等に取り組みますとともに、本年度からは、広報誌「ふれあい山口」の毎月発行や県政モニター制度の創設、さらには県内各地で、県民の皆様と私が直接語り合える場づくりなど、広報広聴体制の充実強化を積極的に進めてまいりました。 また、"しっかり聞いて"キャンペーンで寄せられました御提言につきましては、可能なものから早速、平成九年度予算において事業化いたしますとともに、地域における行政サービス機能の充実を図るための県民局の設置等、県民に視点を置いた機構改革も実施をいたしました。 さらに、県政の透明性を高めるため情報公開条例を制定をすることとし、今議会で御審議をいただくことにいたしております。 さらに、二十一世紀の本県の進むべき方向を定める新しい長期展望の策定に当たりましても、県民の皆様と一緒につくっていくという視点に立ち、委員の公募制度の導入や、地域懇談会の開催等により、広く御意見をお聞きをしながら、県民の夢と希望を具現化する実効性の高いものにしていくことにいたしております。 私といたしましては、県議会の皆様の御理解と御協力のもとに、こうした取り組みを着実に進めているところであり、県民が主役となる県政の実現に向けて、一定の成果が上がってきているのではないかと考えております。 今後とも県民の皆様と県政の距離を近づけるシステムづくりを、さらに積極的に展開し、県民の皆様と力を合わせながら「二十一世紀に自活できるたくましい山口県の創造」に全力で取り組んでいく決意であります。 次に、日米防衛協力のための指針、いわゆる「ガイドライン」の見直しについての所感及び今後の対応についてのお尋ねであります。 このガイドラインは、日米安全保障条約に基づき、日米間の防衛協力のあり方を決めたものであり、現在見直しについて、日米間で協議が進められているものでありますが、先般公表された中間取りまとめによりますと、日本周辺有事の際の日本側の支援として、補給や物資の提供等を目的とする民間港湾・空港の使用等が検討項目とされております。このため、地方への影響も予想されますが、国からは使用の対象となる民間港湾・空港の特定や、その使用に当たっての各管理者との関係調整等、具体的な協力体制については、新ガイドライン策定後に予定をされている日米相互協力計画の検討の中で明らかにしていく意向であると聞いております。 したがいまして、現時点においては、新たな防衛協力の実施に伴い、県民生活や県経済にどのような影響が生ずるかについては、判断することができないところであります。 このため、県としては、当面ガイドラインの見直し作業を注視をし、関係省庁等を通じて積極的な情報収集に努めますとともに、今後、具体的な協力体制が検討される段階において、本県への影響が懸念をされる場合には、安全な県民生活や円滑な地域経済活動を確保する視点から、地元の意見が十分反映をされますよう、渉外知事会等を通じて、国へ要請等を行ってまいる考えであります。 次に、三県省道トライアングル交流についてのお尋ねであります。 近年、急速に国際化が進展します中で、内外の複数の地域と連携した広域的な国際交流活動の重要性が高まっておりますことから、このたび策定した「やまぐち国際化推進ビジョン」の中で、広域連携による新たな交流の推進を重要な柱の一つとして位置づけ、その具体的な方策として、友好姉妹提携をいたしております中国山東省、韓国慶尚南道と共同して行う、三県省道トライアングル交流に新たに取り組むことといたしました。 このような中で、私は機会を得て、この四月に山東省を、また、五月に慶尚南道を訪問させていただき、それぞれの地域の目覚ましい発展を目の当たりにするとともに、李省長、金知事との会談や、さまざまな人々との交流を通じ、これらの地域と密接な関係にあることを改めて実感し、本県もアジアの一員として、アジアの各地域とともに生きていかなければならないと痛感をいたしました。 お尋ねのトライアングル交流におきましても、ともに生きる、すなわち、「共生の精神」と「対等なパートナーシップ」を基本理念として、アジアの三つの地域が理解と信頼のもとに相互発展を目指して協力していかなければならないと考えております。 また、今後の具体的な共同交流事業としては、こうした基本理念のもとで、今回の訪中、訪韓の際、省長、道知事と合意をした「三県省道知事サミット」の開催を初め、環境保全や文化財保護の分野でのシンポジウムの開催や共同調査研究、「三大学トライアングル学生交流」など青少年の交流事業、さらには、芸術文化の交流事業として、十一月に山口市で開催する「東アジア文化の集い」など、県民が参加できる多彩な事業を実施をしていくことにいたしております。 今後とも、国際社会において、地域間の相互依存がますます深まる中、二十一世紀に向けお互いの地域の発展を目指して、三県省道トライアングル交流を積極的に展開していきたいと考えております。 次に、産業廃棄物問題についてのお尋ねであります。 まず、廃棄物処理法の改正に伴う産業廃棄物処分場設置についての今後の対応でありますが、今回の改正では、お示しのとおり、処理施設の設置に当たって、信頼性と安全性の向上のため、一つは、生活環境影響調査の実施、二つは、告示・縦覧と関係住民や関係市町村長の意見聴取、三つは、有識者の意見聴取等の手続が明確にされたところであります。 県としては、今後この法改正に伴い専門委員会の設置、告示・縦覧等の情報の公開等、所要の体制整備を図ることにいたしております。 また、御指摘の住民の同意の取得につきましては、今回の法改正において義務づけがなされておりませんが、今後制定される政省令や、本年度新たに設置した住民代表、学識経験者等から成る「山口県産業廃棄物問題懇話会」の御提言をも踏まえ、現行の山口県産業廃棄物適正処理指導要綱の見直し等の中で、適切な措置を講じてまいる考えであります。 次に、不法投棄対策についてであります。 不法投棄等の不適正処理対策につきましては、未然防止、被害の拡大防止の観点から、監視の強化が必要であるとの認識に立ち、本年五月、徳山及び宇部健康福祉センターに、「山口県産業廃棄物監視パトロール班」を設置をいたしました。 今後、市町村、警察等、関係機関との緊密な連携のもとに、年間を通じて広域的な監視、指導の強化を図り、不法投棄等の未然防止に万全を期してまいりたいと考えております。 また、原状回復対策につきましては、第一義的には原因者による回復の徹底を図り、原因者が不明等の場合で、生活環境の保全上支障を生ずるおそれがあると認められる場合には、今回の法改正により創設をされた制度を積極的に活用する等、環境の保全に努めてまいりたいと考えております。 次に、県指導による広域最終処分場の整備促進についてであります。 県におきましては、事業者処理の原則を踏まえつつ、公益性を有する第三セクター方式により、現在、東部、周南、宇部・小野田の三地域において、広域最終処分場の確保に努めているところであります。 宇部・小野田地域におきましては、昨年度から、港湾整備事業による護岸建設を進めております。 しかしながら、東部及び周南地域におきましては、地元の合意形成や多額な建設費の負担などの課題があり、これらの早期解決を図るためには、新たな対策が必要と考えております。 このため、県としては、関係市町村や関係団体と一体となって推進体制の強化を図り、地元の合意形成を進めますとともに、産業廃棄物問題懇話会において、財政支援策など、公共関与のあり方について検討を進めることとしており、その検討結果をも踏まえ、公共関与による広域最終処分場の整備を促進をしてまいりたいと考えております。 今後とも、県民の生活環境の保全を初め、産業の健全な発展を図るため、時代に即した産業廃棄物対策に、なお一層積極的に取り組んでまいる考えであります。 次に、福祉行政についての数点のお尋ねのうち、まず、高齢者福祉対策についてであります。 今後、高齢化が進行する中で、介護サービスの基盤整備を進めることは極めて重要であると認識をしております。県としては、これまでも高齢者保健福祉計画に基づき、サービスの拡充が図られるよう、市町村等に対する指導、支援に努めてまいりました。 その結果、中間年を終えた現時点におきまして、サービスの種類によっては、お示しのように地域差も見られますが、特別養護老人ホーム、老人保健施設、デイサービスセンターなどにつきましては、おおむね、中間目標どおりの整備となっており、計画全体としては、着実に進展しているものと考えております。 また、お示しの新ゴールドプランの基本理念をも踏まえながら、早朝、夜間等におけるホームヘルプサービスの提供、在宅介護支援センターのケアマネージメント機能の強化、利用者の視点に立った高齢者サービス評価事業の実施、ホームヘルパーの計画的な養成などに、積極的に取り組んできているところであります。 今後、県としては、介護サービス基盤のハード・ソフト両面にわたる総合的整備につきましては、これまでの取り組みの成果を踏まえ、高齢者保健福祉計画の整備目標の達成に向け、いずれの市町村においても、適切なサービスが受けられるよう、地域バランスにも配慮しながら、特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、在宅介護支援センター等の整備を進めるとともに、二十四時間対応のホームヘルプサービスや痴呆性老人グループホームなど、新しいサービスの普及にも努めてまいりたいと考えております。 また、市町村に対する介護基盤整備のための支援施策につきましては、介護実習普及センターにおけるホームヘルパー、ケアマネージャー等のマンパワーの養成、介護サービスへの民間事業者の参入促進、さらには、高齢者等に優しいまちづくりの推進などにも、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 今後とも、県としては、高齢者が住みなれた家庭や地域で安心して生活を送ることができるよう、市町村や関係団体との緊密な連携のもとに、在宅サービス、施設サービスを通じた高齢者介護対策の充実に、鋭意取り組んでまいりたいと考えております。 次に、女性の職場進出の支援に係る特別保育対策についてのお尋ねであります。 お示しのとおり、少子化が進展する中、子供を持ちたい人が、安心して子供を産み育てることができるような環境づくりを進めることは極めて重要な課題であり、とりわけ、仕事と子育ての両立を支援する特別保育対策の拡充を図っていかなければならないと考えております。 このため、県におきましては、これまで平成六年に策定した児童環境づくり行動計画において、十二年度の整備目標を定め、その達成を目指し、市町村や関係団体の協力を得ながら、乳児保育、延長保育等の特別保育対策の充実を図ってきたところであります。 特に、本年度におきましては予算の大幅な増額を行い、特別保育を実施する保育者の増加を図ることにいたしております。 さらに、今後も、女性の社会進出の増加等が予想され、仕事と子育ての両立を積極的に支援する必要がありますことから、乳児保育、延長保育につきましては、さらなる拡大を図り、また、低年齢児保育、開所時間の延長につきましても、積極的な推進を図るため、現在、市町村の実情や意向を踏まえ、現在の目標を大幅に上回る新たな目標を設定するよう、行動計画の見直し作業を行っているところであります。 今後、見直し後のこれらの特別保育事業の目標達成に向けて、市町村、関係団体との緊密な連携のもとに、計画的かつ着実な推進を図り、安心して子供を産み育てることができる環境づくりに積極的に努めてまいりたいと考えております。 次に、乳幼児医療費助成制度の拡充についてのお尋ねであります。 乳幼児医療費助成制度は、国の医療保険制度を補完する制度として、財政的支援が必要な所得階層を対象に実施をいたしており、これまで、社会経済情勢の変化等に対応し、また、児童環境づくりの重要性をも踏まえ、実施主体である市町村のコンセンサスを得ながら、所得制限の緩和等、逐次内容の充実を図ってまいりました。 その結果、現在では、対象者の割合が七五%に達しており、現物給付方式の採用や対象年齢の範囲、また、給付制限を設けていないこと等を総合的に勘案をいたしますと、制度全体としては、全国的にも高い水準にあると認識をいたしております。 一方、このたび、国におきましては、医療保険制度の改正に際し、衆参両院の厚生委員会で、「就学前児童の一部負担について、少子化対策の観点及び地方公共団体における単独事業の実情を踏まえ、その軽減を検討すること。」との附帯決議がなされたところでありますので、今後、このような国の新たな動向も注視をしながら、県としての対応を考えてまいりたいと考えております。 次に、宇部テクノポリスについてであります。 宇部テクノポリスは、御案内のとおり、中小企業育成型、全県波及型を最大の特色とする長大プロジェクトであります。 昭和五十九年に地域指定を受けましてから、お示しのとおり、先端技術産業の受け皿となる良質な産業団地の造成と、これらに関連するインフラの整備、超高温材料研究センターや山口東京理科大学の誘致と、山口大学、民間研究所の充実等による学術研究機能の拡充、宇部新都市等の整備による魅力ある居住空間の創出、さらには、産業技術開発機構や工業技術センターを中心とした中小企業の技術力強化を図るためのさまざまな事業を展開するなど、ハード・ソフトの両面にわたる諸事業を産・学・官が一体となって推進をしてまいりました。 こうした取り組みにより、県域内では、ハイテク産業を中心に百社近くの企業立地と計画人員で約七千八百人の雇用を創出をするとともに、これらを中心に県内に広く良好な産業コンプレックスや研究開発コンプレックスが形成され、本県中小企業の技術振興に多面的な波及効果を生じております。 これらのことから、県といたしましては、テクノポリスの建設効果は着実に上がっていると認識をいたしております。 次に、三期計画では、ソフト面にもっと力点を置くべきであるとの御提言につきましては、私も同感であります。もともと、テクノポリスはソフトポリスと言われるほど、ソフト重視のプロジェクトであります。 したがいまして、従来もソフト面の充実に取り組んでまいりましたが、三期計画におきましては、産業技術開発機構と大学や各種研究機関との連携をさらに強化することにより、研究開発から起業化に至るまでの総合的な支援対策を構築し、新産業の創造、新規事業の展開といった内発的創造を一層推進していきたいと考えております。 そのために、これまでの「産・学・住・遊」の機能に、人づくり、新産業の創造といった「創」の機能を新たに加えることで、計画づくりを進めておりまして、できれば、来年早々にも国の承認を得たいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(桑原孝行君) 上野教育長。    〔教育長 上野孝明君登壇〕 ◎教育長(上野孝明君) 中高一貫教育についてのお尋ねでございます。 お示しのように、今回の中央教育審議会におきましては、生徒一人一人の能力、適性に応じた教育の推進を基本的な考え方として、教育内容や方法のみならず、学校間の接続を円滑にし、制度面での多様かつ柔軟な対応について、検討が進められてきたところでございます。 特に、心身の成長や変化が著しく、多感な時期である中学校から高等学校にかけての教育のあり方に関して、中等教育全体の多様化、複線化など、子供たちや保護者の選択の幅を広げることが、今日的に重要な課題となっていることは、御承知のとおりでございます。 このような中で、中学校教育と高等学校教育を青年期の教育として一貫して行うことは、継続的、発展的に生徒の個性の伸長を図ることができ、高校入試の影響を受けずに、ゆとりのある安定的な学校生活が過ごせるなど、その意義は大きいと考えております。 私も、この六月、公立の学校としては全国に先駆けて、中高一貫教育を実施しております宮崎県の五ケ瀬中学校・高等学校を訪問したところでございます。 自然や地域の人々とのさまざまな体験学習を行うなど、子供たちがゆとりを持って個性や創造性の伸長を目指した学校生活を送っている様子に接することができまして、その先進的な取り組みについて評価したいと考えております。 しかしながら、反面で、この制度の適切な運用が図られない場合は、受験競争の低年齢化をももたらすおそれがあることや、生徒集団が固定化されること等によりまして、学習環境になじめない生徒が生じるおそれがあることなどの指摘もあるのも事実であります。 お尋ねの本県における中高一貫教育については、子供たちや保護者のニーズ、地域の実情を十分踏まえた上で、その意義や問題点、設置形態、教育内容、さらには、具体的にどのような特色を備えたものが考えられるのかなど、今後研究すべき課題も多いと考えております。 県教委といたしましては、今月中にも予定されております中教審の第二次答申や、これを受けての諸制度の改革も含めた国の動向等を注視しつつ、教育ビジョン策定協議会における意見も踏まえながら、本県としての中高一貫教育の取り組みにつきまして、調査・研究を行ってまいりたいと、このように考えております。 以上でございます。 ○副議長(桑原孝行君) 斉藤良亮君。    〔斉藤良亮君登壇〕(拍手) ◆(斉藤良亮君) 香山会といたしまして再び代表質問の機会を得ましたことにつきまして、新たな政治の流れを痛切に感じますとともに、四人の力を結集をいたしまして、山口県勢発展のために全力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いをいたします。 さて、戦後の日本は、復興と発展に向けて、国民が一丸となって取り組んでまいりました。 しかしながら、昨今の日本の、ともすれば政治家が政治を忘れ、我田引水、いわばみずからの保身のための地元利益を優先したり、党利党略に走った結果、政治不信を招き、そして、行政もまたこれを追随したことから、今日の混乱を招いたのではないでしょうか。 私は、政治家はそれぞれの立場に立って、県、国、そして市町村の真の姿を理解し、そして、将来のあるべき姿を真剣に論議すべきであると考えております。 二十一世紀まであと三年、現状のままでは、将来の日本、そして、山口県のさらなる発展を望むことは非常に厳しいものとなっております。 今こそ我々政治家は、みずからが考え、山口県を真剣に論議するとともに、行政のトップである二井知事が、強力なリーダーシップを発揮することが、これからの山口県の発展のかぎであると確信しているところであります。 このような立場から、県政の当面する課題について、二井知事、上野教育長並びに村田県警本部長に、順次質問をさせていただきます。 まず、県勢振興の基本姿勢について三点お尋ねをいたします。 その第一は、財政問題であります。 我が国財政は、今や主要先進国の中でも最悪と言われる財政状況に陥り、さきに発表された「財政構造改革の推進方策」に見られるように、国は今後、一切の聖域なしに厳しい財政削減策を行おうとしておるのであります。 そして、財政構造改革を推進するに当たっては、単なる財政収支の改善にとどまることなく、財政構造そのものの見直しを行うこととし、官と民、国と地方の役割分担の見直し等、これまでにない大胆な改革となっておるのであります。 特に、公共事業を初めとして政策的経費を大幅に削減するなど、経済社会情勢の変化に対応した各種事業において、厳しい再検討が予定されておるのであります。 また、地方においても、こうした国の影響を受けると同時に、地方みずからも財政の健全化に向けた取り組みが求められているのであります。 私は、こうした厳しい財政状況を踏まえますと、今後の県の施策予算の決定に際しては、限られた財源の中で、真に実効ある予算とするためには、徹底した経費削減の努力とともに、施策の優先配分や、地域の特性に応じた重点投資が不可欠であると考えるのであります。 そこで、お尋ねをいたします。 知事は、さきの二月定例会において、施策予算の重点化、モデル化を進めると述べられたところでありますが、こうした国の財政構造改革の動向を踏まえ、今後どのような形で予算の効率化、重点化を進めていかれるおつもりなのか、改めて所見をお伺いをいたします。 次に、新たな長期展望についてお尋ねをいたします。 二十一世紀を間近に控え、我が国は、価値観、生活様式の多様化、グローバルゼーションの進展、高次な成熟社会への転換、少子・高齢社会への移行、情報通信の高度化などの時代の潮流の中で、行政、財政、社会保障、経済、金融、教育と、六分野での抜本的な改革が進められるなど、大きな時代の転換期にあります。 このような中で、二十一世紀に向けて、山口県の魅力を高め、新しい県づくりを進めていくためには、県内就職の促進や子育て支援体制の整備などの人口定住対策、地域特性を生かした農林漁業の展開などによる中山間地域の活性化、構造調整に直面している工業の活性化対策、あるいは、高次都市機能や都市型産業の集積した中核都市の形成、高齢者が健やかに安心して暮らせる長寿社会の形成などの課題に総合的に対応していくために、新たな視点に立った、新しい長期展望の策定がぜひとも必要であると考えます。 そして、分散型都市構造を抱える本県は、効率的な地域づくり、例えば県土一時間構想で申しますと、単に道路の整備という立場だけではなく、各地域間を経済、文化など有機的に結びつけるという総合的な見地から進めるべきであります。 さて、知事は、昨年九月に、新しい長期展望の策定を表明され、本年二月には、その骨子案として、「県民主役・県 市町村連携」「自活・共生」「ハード・ソフト連携」「全国・世界 情報発信」「施策重点化」の県づくりを掲げ、「やまぐち二十一世紀デッサン」を発表され、今後、この骨子案をたたき台として、年度末を目途に、新しい長期展望の策定を進められておるのであります。 私は、新しい長期展望の策定に当たっては、なぜ、山口県の発展が思うようにいかなかったのか、これまでの長期展望の反省点、例えば、昨年の十二月議会での私の質問においても触れておりますけれども、他県、他地区との連携が十分でなかったのではないのか、社会資本の整備がハード面に偏っていたのではないか、実現可能性を重視したために、現実的であり過ぎたのではないか、を十分に検討・分析し、策定されることが必要と考えます。 私は、こうした反省点に立って考えてみますと、これまでの県の長期展望は、山口県が何を目指し、何を進めていこうとしているのか明確でなく、いささか総花的であり、目に見えた施策やプロジェクトが希薄であったのではないかと感じておるのであります。 また、県民の意見や要望が、十分に計画に反映されてなかったのではないかとも考えております。 そこでお尋ねをいたしますが、新しい長期展望の策定に当たっては、県民が一丸となって取り組んでいけるような、二十一世紀における山口県のあるべき姿を明確にすると同時に、その実現に向けた戦略的な施策やプロジェクトを定めることが重要と考えますが、知事の所見をお伺いをいたします。 次に、市町村とともに歩む県政についてお尋ねをいたします。 五月二十一日の萩圏域に始まり、長門圏域、下関圏域の県下三圏域で、知事、市町村長、住民代表が、地域の抱える課題について自由に語り合い、討議する地域政策懇談会、いわゆる「二十一世紀パワーアップサミット」が、開催をされております。 知事みずからが、県下各地域のさまざまな意見・提言を直接聞き、ともに地域の振興について語り合うことは、十分評価するものであります。 二井知事は、県政運営の基本姿勢に「市町村とともに歩む県政」を掲げられ、昨年九月県議会においても、「それぞれの市町村が自立をし、その個性や特性を生かした地域の振興が図られるよう、市町村と対等の立場に立って、互いに連携し協力し、市町村の意見を十分お聞きしながら、市町村活性化のための重要課題に最優先で取り組んでいく」と表明されております。 私も、地方分権が進展する中で、基礎的公共団体としての市町村と広域的地方公共団体としての県という、それぞれの性格に応じた相互の役割分担を明確にし、新たな視点で、対等・協力の関係を築いていくべきだと思いますし、住民に最も身近な市町村の活性化なしには、山口県の発展はあり得ないと考えておるものであります。 しかし、気候風土も地域性も異なる県下の五十六市町村は、それぞれが多種多様な地域課題を抱えているにもかかわらず、現実には、それまでの市町村支援策は、例えば補助事業を実施したものの、画一的な制度のために、地元は過重な負担に苦しんでいるような例もあったのではないかと思うのであります。 私は、今こそ、知事と市町村長、住民代表が、直接語り合う地域政策懇談会により、地域で取り組むべき課題や方向を明確にし、県はこれまで以上に、地域みずからの課題の解決に向けた取り組みを積極的に支援していくことが必要と考えますが、知事の所見をお伺いをいたします。 次に、少子化対策についてであります。 先般、厚生省から発表された「都道府県別将来推計人口」によりますと、平成三十七年(二○二五年)の山口県の推計人口は、百二十六万三千人と、一昨年の国勢調査結果の百五十五万六千人と比較して、二○%近く減少することとなっております。 また、六十五歳以上の高齢者の占める割合が三三・一%と、秋田県に次いで全国第二位の高齢県になるとともに、年少人口も減少し続けるとされております。 この推計は、二十一世紀に向けて、我が国の少子・高齢社会が一層進展してくことを示しておりますが、山口県の将来像としては極めて厳しい結果となっており、県議会、県執行部を中心に、関係者が総力を挙げて、この推計を覆していかなくてはなりません。 これまでの本県の少子化の推移を出生数で見ますと、昭和四十八年には、二万六千人余りでありましたが、この年以降減少傾向が始まり、平成七年には、一万三千人余に半減をしておるのであります。 少子化の問題については、結婚、出産、子育てといった個人のライフスタイルにかかわる問題であり、価値観の多様化によって、より問題は複雑化しておりますが、出生率の低下が、将来、労働力不足や需要の低下、社会保障制度を支える現役世代の負担増等の面で、社会経済に与える影響は、はかり知れないほど大きいものであります。 子供は、将来の社会の担い手であり、健全な次世代を形成してくことは、すべての国民の共通の願いであるとの認識に立ち、子供の持つ社会的価値を認め、行政を中心として、家庭、地域社会などにおいて真剣に論議し、社会全体で少子化対策に取り組んでいかなければならないと考えております。 厚生省の調査によれば、我が国の出生率低下の最大の要因は、結婚年齢及び出産年齢の上昇、さらには結婚しない男女の増加という、未婚率の上昇にあるとされておりますが、一方では、結婚をした夫婦が何人の子供を持ちたいかという理想子供数が、平均で二・六人であるのに対し、実際には二・二人の子供しか産んでいないというデータもあり、子育て環境を整備することなどによって、少しでも理想の子供数に近づけていかなければなりません。 県においては、国のエンゼルプランや緊急保育対策等五か年事業に先行して、平成六年三月に、児童環境づくり行動計画を策定し、その計画に沿って子育て対策のための諸施策を市町村、関係団体とともに推進しており、その努力は認めるところであります。 しかしながら、この際、本県の将来像について改めて危機感を持つとともに、児童環境づくりを柱とする少子化対策の重要性について再認識をしていただき、より踏み込んだ取り組みを進めていく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いをいたします。 次に、森林の整備、とりわけ国有林等の森林の活用についてお尋ねをいたします。 国の赤字事業の代表の一つであります国有林野事業は、昨年十二月二十五日に閣議決定をされた「行政改革プログラム」の中で、その厳しい財務状況から、抜本的改善が求められております。 この国有林野事業が管理経営する国有林野は、国土面積の約二割、森林面積の約三割にも及んでおります。 戦後の荒廃した森林の復旧に果たした役割は大きく、国産材時代を間近にして、資源は一層充実してきておりますが、独立採算制を堅持してきた特別会計は、安価な輸入木材の普及に押され、赤字に転落、平成七年度末の累計債務は、三兆三千三百八億円となったことは、御承知のとおりであります。 これまでの林野庁の国有林野事業改革の中で、毎年職員を大幅に削減してきましたが、七百六十一万ヘクタールに及ぶ国有林の管理機能は、既に限界を超えていると考えるし、膨大な赤字はもはや一刻の猶予もできないものとなっておるのであります。 改革プログラムを受け、農林水産省は今年度中に、林政審議会の検討を踏まえ、所要の法律案を平成十年の通常国会に提出することとしているようであります。 これまでの国有林野の赤字対策については、民営化や機能分割、環境庁や地方公共団体への移管など、さまざまな改革議論が展開されてきたようでありますが、今や、森林は木材などの森林資源の供給といった利益追求だけでは、管理できる時代ではないと思うのであります。 山口県内の国有林の状況は、面積で約一万一千六百ヘクタール、全森林面積の約三%にすぎませんが、この国有林を活用し、県民の福祉の向上を図るため、国有林を県で移管を受けて、私が常々訴えてきた「大規模森林公園」として整備してはいかがでしょうか。 このようなアイデアが全国的に展開されるための国有林の地方への無償移管、また、公園化に向けた補助制度の創設や、民間活力の導入に係る特別措置の創設等、積極的に国に働きかけてはいかがでしょうか。 そこでお尋ねをいたしますが、国を挙げて「行政改革」と「財政改革」の二大改革が進むこの時期、私は、地方としても、以上の点を国に提言すべきであると考えますが、知事の所見をお伺いをいたします。 次に、教育問題についてお尋ねをいたします。 先日、ユネスコの協力機関である国際教育到達度評価学会が、世界の二十六の国と地域の小学生、約十七万人を対象に行った「国際数学・理科教育調査」の分析結果が新聞に掲載をされておりました。 これによりますと、日本の小学生の平均点は、トップクラスであったにもかかわらず、成績上位一○%にどれだけの児童が入っているかを比較したところ、日本の小学生の方より、米国や英国の方がすぐれているという結果が出ました。 このことは、「平均的なレベルは高いが、すぐれた才能を持つ子供が育たない」という日本の教育制度に対する指摘を裏づける分析結果でありました。 私は、この分析結果を見て、日本の教育も、欧米の教育のよい部分をもっと取り入れるべき時期に来ているのではないかと感じた次第であります。 すなわち、既に言われている個性を伸ばす教育が、ここに来て大変重要であると、改めて感じた次第であります。 明治以来の我が国の学校教育は、学校における一斉指導という授業方式が重視されてまいりました。 確かに一斉指導は、すべての子供の教育水準を、ある一定のレベルまで到達させるためには最も有効な方法であり、明治以降の日本の急速な発展の原動力となったことは否めません。 しかし、現在、この一斉指導が問い直されております。それは、「画一・一斉指導」の短所が、もはや見逃すことのできない状況になっているからであります。 第十五期中央教育審議会の第一次答申では、二十一世紀を担う子供に必要な資質、能力は、「変化の激しいこれからの社会を生きる力」であると提唱をしております。 そして、この教育は、「自分の持ち味・個性を思い切り発揮できるために子供の生きる力を求めての自分探しの旅を助ける営み」であると、規定をしておるのであります。つまり、個性を生かす教育、自己の確立と共生の教育への転換を目指すものであり、私も同感するものであります。 個性を生かすことは、生きる力を強めることになりますし、なぜなら、個人個人の持つ個性が評価され、意欲が引き出されるからであります。 例えば、本県の偉大な先人であります吉田松陰先生は、「人賢愚ありといえども、おのおの一、二の才能なきはなし、湊合して大成するときは、必ず全備するところあらん」と述べておいでになります。 これは、人間には個人差が存在するが、個性を大切にする教育によってそれぞれの才能を引き出し、だれもが大成することができるものだとする考え方であります。 本県においては、一人一人のよさを見抜いて個性を生かしていく教育の風土があります。このよき山口県教育の伝統を継承していくことが、我々に課せられた使命と考えます。 このように考えますとき、私は、この「画一・一斉」という教育をいま一度深く反省をして、従来の教育観からの転換を図り、さらに教師の意識改革をも図りながら、児童生徒のよさや可能性を発揮することができるような教育環境や制度を整えるなど、今こそ、教育全般にわたり見直す好機だと思うのであります。 上野教育長は、教育界の責任者として、常日ごろから現場重視の観点に立って、教育現場にも積極的に出向いて生の声を見聞きしていると承っております。 このことは、現場の教育者にとって大いにやる気を起こさせ、勇気づけられるものであり、まことに意義深いものだと思っております。 教育に携わる者の意識改革がまず大切であり、こうした現場の声を教育行政に大いに反映させていただきたいと思うのであります。 そこで教育長にお尋ねをいたしますが、児童生徒の個性の伸長のため、今後どのように取り組まれていかれようとしておるのか、お伺いをいたします。 最後に、地域住民と警察活動ということに関しましてお尋ねをいたします。 神戸市で小学生の子供さんが、残忍な手口で殺されたというニュースが、日本全国を駆けめぐりました。鬼畜にも劣る犯罪であり、一日も早い解決を願うところであります。 さて、日本全国では、毎日いろいろな犯罪が起きております。これらの事件は、どんな事件であれ、地域のある一点において発生するものであり、広いエリアというもので発生するということはめったにありません。 こうした観点で申せば、地域と警察のつながりがいかに重要であるかということを、かねてより考えてきたところであります。 今回の事件に限らず、事件などの解決には、地域の住民の協力が大きな糸口となっていることは、これまでの警察の御努力により明らかでありますが、日本の安全神話が揺らいでいるということをよく耳にする現在、幹よりも枝の先から情報は入るものということを再認識していただきたいと考える次第であります。 ところで、日本の治安のよさは、交番制度という日本独自のシステムによるところも大きいとは思いますが、同時に、これに勤務する警察官の御努力も、この大きな要因となっていることと思っております。 私は、地域に勤務する警察官の方々は、地域の住民からの強い信頼感が必要であり、そのためには地域の住民とふだんから密接な関係を保ち、さらに、地域の一員となっていただくことが、大切なのではないかと考えてまいりました。 そのためには、その地域ごとにおける警察活動以外の独自の活動というものも、重要なことではないかと考える次第であります。 聞き及びますところ、地域の少年のスポーツ活動などにおきまして、例えば、少年柔道の指導などを行っておられる方などもおられるとのことでありました。 私が、子供のころには、学校に地区のお巡りさんが来られて、講義をしてくれたこともありました。 また、地域の要請で、各種会合や行事への参加を求められることも多いことかと思いますが、これらにも積極的に参加していただき、機会ごとに防犯面、交通安全指導、その他地域の安全を守るための指導や助言を行っていただきたいと思うのであります。 こうした独自の活動の積み重ねが、ひいては警察と地域住民との垣根を取り払い、地域警察の意義を高めていくものと信ずるところであります。 地域の安全の確保のためには、地域で活動される交番、駐在所の警察官の方が、常にその先頭に立っていただきたいのであります。 しかし、一方で警察官としての勤務もあり、時間的な余裕という問題もあるやもしれません。そこで重要なのは、警察本部のバックアップ体制ではないかと思います。 交番へのOBの活用も、空き交番対策という面だけではなく、こうしたバックアップという面でも有用性があると思っております。 そこでお尋ねをいたしますが、交番、駐在所に勤務する警察官の地域における独自の活動については、警察官個人の努力によるものだけでは、その後の転勤等により、その継続性を失うこともあり得ますし、さらに個々の活動には、当然組織としてバックアップする必要があるということから、警察本部としての系統的な支援をどのように考えておられるのか、村田県警本部長の所見を伺いまして、私の代表としての質問を終わらせていただきます。 御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○副議長(桑原孝行君) 二井知事。    〔知事 二井関成君登壇〕 ◎知事(二井関成君) 御質問に順次お答えを申し上げます。 まず、県勢振興の基本姿勢に関連をして、予算の効率化、重点化についてのお尋ねであります。 国、地方を通ずる極めて厳しい財政状況にあります中で、県民や時代のニーズに的確に対応し、新しい県づくりを進めていくためには、その基盤となる財政の健全化に努めつつ、限られた財源を効果的に活用ができますように、経費支出の効率化と施策の重点化を図ることは、お示しのように極めて重要であります。 私は、このような考え方から、本年度の当初予算におきまして、内部管理経費の節減の強化など、徹底した経費の節減合理化に努めますとともに、高齢者対策や中山間地域対策など、県内各地域の特性に応じた事業の重点化、モデル化に思い切って取り組んだところであります。 さて、御案内のように、先般、国におきましては、「財政構造改革の推進方策」が決定をされ、社会保障や公共投資など、各分野における具体的な改革と歳出削減の方針が示されたところであります。そして、その一環として、地方財政につきましても、国と同一基調に立って、その健全化を図るため、事務事業の見直し等、地方みずからが行財政の効率化と重点的な予算配分に取り組むことが要請をされているところであります。 そこで、こういう状況の中での本県の取り組みについてでありますが、私は、今後の県財政の健全化と新しい長期展望の計画的な推進を確保するために、目下、「中期財政見通し」の作成を進めているところであります。 まず、この見通しにおいて、ぜひとも予算の効率化、重点化の視点を取り入れていきたいと考えております。 また、中期財政見通しの初年度となる平成十年度の予算編成におきましても、予算の一層の効率化、重点化を進めるため、歳入、歳出全般にわたる洗い直しや、経費の節減合理化への取り組みを強化いたしますとともに、優先順位の厳しい選択のもと、本年度予算において導入をした事業の重点化、モデル化方式を積極的にさらに推進をするなど、真に必要とされる施策への重点的な対応を図っていきたいと考えております。 いずれにいたしましても、本県財政をめぐる諸情勢は、今後一段と厳しさを増しますことから、私としては、予算の一層の効率化、重点化に努めていかなければならないと考えております。 次に、新しい長期展望についてのお尋ねであります。 二十一世紀に向け、地方は将来に向けての明るい展望を切り開き、地方分権の時代にふさわしい地域づくりを展開していかなければならない、極めて重要な時代を迎えており、本県も新しい時代に向けて、新しい考え方に基づく、新しい県づくりを、県民とともに積極的に進めていかなければなりません。 したがいまして、私は、新長期展望は、これまでの四次にわたる長期展望の単なる延長ではない、新しい考え方に基づいたものにしなければならないと考えており、お示しのように、県民と一丸となって取り組める山口県のあるべき姿の明確化や、その実現に向けた戦略的な施策の構築は、極めて重要であると考えております。 このため、新長期展望の策定に当たりましては、今年二月に作成、公表した新長期展望の骨子案、「やまぐち二十一世紀デッサン」をもとに、目下、県内各界各層の委員で構成する策定協議会を初め、県民や市町村、県外の方々などから、本県の課題や特性、未来の姿を初め、施策の展開や地域振興の方向などについて、さまざまな意見や御要望を精力的にお聞きをいたしているところであります。 今後、策定に向けては、こうした御意見等をもとに、県勢振興の基本目標である「二十一世紀に自活できるたくましい山口県の創造」を実現するため、県民の皆様方とともに目指すべき将来の姿を明確にしたいと考えております。 また、そうした未来の姿を具体的に実現をしていくため、特に、戦略的かつ重点的に取り組むべきことを「未来創造戦略」として明確に位置づけ、具体的なプロジェクトを構築したいと考えております。 私としては、こうした目標の明確化や取り組みの重点化を図りながら、県民の皆様方の夢や希望を具現化する実効性の高い長期展望を策定し、県民の皆様方とともに、いつまでもたくましく生き抜く山口県を創造したいと考えております。 次に、「市町村とともに歩む県政」についてのお尋ねであります。 お示しのように、私は県政運営の基本姿勢として、市町村とともに歩む県政を掲げており、県と市町村が対等の立場に立って、お互いに連携、協力し、県は市町村の意見を十分にお聞きをしながら、ともに地域振興を図っていくことが重要であると考えております。 本年度から、その一環として地域政策懇談会、いわゆる「二十一世紀パワーアップサミット」を開催をしておりますが、このパワーアップサミットは、私が直接地域にお伺いをして、住民の代表の方々や市町村長と同じテーブルに着き、その地域の振興について、対等の立場で自由な意見交換を行うものであり、現在、萩地域を皮切りに、長門地域、下関地域でそれぞれ開催をし、残りの五地域につきましても、今年度中の開催を予定をいたしております。 今後は、このパワーアップサミットにおいて示された御意見やアイデア、提言等をもとに、圏域ごとに設置をする市町村実務者レベルの協議会、いわゆる「二十一世紀パワーアップ協議会」において、各地域の取り組むべき課題や、その解決方策等について、自主的、主体的に調査研究を行っていただくことにいたしております。 県としては、各地域で開催される協議会に対して、必要な指導・助言を行いますとともに、こうした調査研究の中で取りまとめられた、地域の個性や特性を生かした地域みずからの取り組みを支援をするため、県、広域行政機構、市町村おのおのの役割分担のもとに、今年度創設をした市町村振興補助金等の活用や、事業の重点化、モデル化等も図りながら、積極的に施策や予算に反映をしていく考えであります。 また、現在策定中の新長期展望にも、こうした地域の取り組みをできる限り反映をしたいと考えております。 私は、地方分権の時代とも言える二十一世紀の県勢の活性化を図るかぎは、まさに市町村の活性化にあると考えております。 このパワーアップサミットを初め、あらゆる機会を通じて、市町村の御意見や御提言をしっかりとお聞きをしながら、県下各地域のそれぞれの個性を生かした魅力ある地域づくりを進めていきたいと考えております。 次に、少子化対策についてのお尋ねであります。 全国的な傾向と同様、本県におきましても、お示しのような出生数や出生率の推移となっており、少子化が進んでおります山口県の現状に、私も危惧を抱いているところであります。 少子化の原因や背景としては、晩婚化や、仕事と子育ての両立の難しさ等が指摘をされておりますが、いずれにいたしましても、少子化が社会経済に与える影響等は大きいものがあると考えられ、少子化対策は、重要な課題であると認識をいたしております。 県としては、これまで子供が健やかに生まれ育つ児童環境づくりを進めることが、出生率の向上にも寄与するとの観点から、各分野の専門家の提言等を踏まえ、「児童環境づくりビジョン」を作成いたしますとともに、平成六年には、その具体的な推進計画である「児童環境づくり行動計画」を策定し、平成十二年度の目標達成を目指し、諸施策を計画的かつ着実に推進をしてまいりました。 現在、計画の進捗状況につきましては、全体としておおむね順調に推移をしており、特に、働く女性のための乳児保育や放課後児童対策事業などは、十二年度の目標をほぼ達成している状況になっております。 また、本県の行動計画策定後に、国の「緊急保育対策等五か年事業」において示された低年齢児保育事業などについても、積極的に取り組んでおります。 さらに今後は、少子化対策の柱ともなる児童環境づくり関連事業の一層の拡充を図るために、市町村の実情や意向を踏まえ、行動計画を見直し、平成十二年度における新たな整備目標を設定をし、市町村の指導、支援に努めながら、児童環境づくりを強力に推進をしていきたいと考えております。 また、少子化問題につきましては、お示しのとおり、結婚、出産、子育てといった個人のライフスタイル等にかかわる問題でもありますため、国民の間でさまざまな意見があり、現在、国においても調査・研究や、人口問題審議会等で、いろいろな角度からの議論が行われております。 県としては、こうした国の動向等を注視をしながら、市町村、民間団体、学識経験者で構成する「山口県児童環境づくり推進協議会」や、県下各地で開催する「子供と家庭フォーラム」等の場において、本県の実情を踏まえた児童環境づくりや、少子化対策のあり方等について、より幅広い観点から議論をお願いをし、その意見や提言をいただきながら、積極的に検討をしてまいりたいと考えております。 次に、国有林の活用についてであります。 御案内のとおり、森林は、林産物の供給や水資源の涵養、国土の保全、さらには自然体験やレクリエーションの場の提供等、さまざまな機能を持っております。 特に、近年、余暇時間の増大、ライフスタイルの多様化を背景に、自然と触れ合うアウトドア活動など、森林の持つ保健、文化、教育的な利用に対する県民のニーズは、ますます高まっております。 このため、県としては、これまで民有林において、生活環境保全林や創造の森等の整備を積極的に進めてまいりました。今後とも地域の特性を踏まえ、多様な機能が発揮される森林の整備に努めることにいたしております。 また、本県における国有林は、滑山国有林のアカマツ、寂地国有林のブナ等、貴重な天然林も保全をされており、これらは県民にとって大切な財産でもありますことから、その適正な管理と利活用は、重要な課題と認識をいたしております。 ただいま、このような国有林の地方公共団体への移管等についての御提言をいただきましたが、現在、国の林政審議会において、国有林野事業の抜本的改革についての審議が行われており、この中で、国有林の果たすべき役割について、地域振興の観点からも検討されているというふうにお伺いをいたしております。 したがいまして、県としては、この林政審議会の答申を受けての国の動向をも踏まえながら、国有林の利活用のあり方について、御提言の内容も含め、今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。 以上でございます。 ○副議長(桑原孝行君) 上野教育長。    〔教育長 上野孝明君登壇〕 ◎教育長(上野孝明君) 児童生徒の個性を伸ばす教育の今後の取り組みについてのお尋ねでございます。 御案内のように、戦後五十年を経た今日、国におきましても、二十一世紀を心豊かにたくましく生きていくことができる子供の育成を目指し、抜本的な教育改革が進められているところでございます。 さきの第十五期の中教審第一次答申にもありますように、これからの教育は、「ゆとり」の中で「生きる力」をはぐくむことを目指し、個性尊重という基本的な考え方に立って、一人一人の能力、適性に応じた教育を展開していくことが必要であるとしております。 お示しのように、本県におきましては、一人一人のよさを見抜き、そのよさを生かしていく教育風土がありますが、この教育風土のよさを踏襲しながら、現在、「夢と知恵を育む教育の推進」を基本目標とし、子供一人一人が夢や希望を抱き、その夢や希望を実現していくために、豊かな知恵を身につけ、自分のよさや可能性を十分に発揮していくことができる教育を目指すことによりまして、個性尊重の教育推進に鋭意努めているところでございます。 さて、私は、昨年教育長に就任して以来、幾つかの学校訪問、また、校長先生方や先生方の研修の場などにも参加をいたしましたが、このような中で、教育に情熱を注いでいる気迫あふれる多くの先生方の姿を拝見し、大変意を強くいたしておる次第であります。 しかし、個性を伸ばす教育をさらに推進していくためには、御指摘のように、子供一人一人が本来さまざまなよさや可能性を持ち、自分らしく生きたい、よりよく向上したいという願いを持ち、豊かな自己実現を目指している存在であるという子供観を持つとともに、子供たちの個性をかけがけえのないものとして尊重し、その伸長を図る教育こそ、これからの教育の課題であるという教育観を一人一人の教師が持つよう、働きかけることが大切であると考えます。 そのためにも、各種研修会等、あらゆる機会をとらえて、教師自身の教育に対する意識の転換を求め、個性を尊重する教育の実践が、各学校において一層進められなければならないと考えております。 また、家庭や地域社会におきましても、これまでの同質志向や横並び意識の転換を図り、子供一人一人のよさを認め、これを伸ばしていくことの大切さを認識していくことが必要であると考えております。 県教委といたしましては、このようなことを踏まえ、来るべき二十一世紀を担う個性豊かで創造性に富む人材の育成を目指し、関係者一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。 以上です。 ○副議長(桑原孝行君) 村田警察本部長。    〔警察本部長 村田保史君登壇〕 ◎警察本部長(村田保史君) 交番、駐在所に勤務する警察官の活動についてのお尋ねにお答えいたします。 交番、駐在所は、県下に二百六十二カ所ありますが、それぞれの場において警察官が日夜を分かたず、地域の安全を確保するため、活動しているところであります。 しかしながら、言うまでもなく、こうした活動は、一人警察だけでなし得るものではなく、県民の温かい御理解と御支援があってのことであります。 こうしたことから、県警察といたしましては、交番、駐在所勤務員に対し、勤務を通じて、管内住民との良好な関係の構築に努めることはもちろん、勤務時間外においても、スポーツや趣味等を通じて交流の場を多く持つよう、奨励しているところであります。 時間外における警察官の自主的な活動としては、例えば、少年の柔剣道の指導、野球、ソフトボール、卓球等、各種スポーツの指導、絵画、俳句、音楽等の指導等が積極的に行われています。 特に、少年柔剣道につきましては、青少年の非行防止と健全育成に大きな役割を果たしているところから、組織として積極的にこれを支援しているところであります。 例えば、駐在所の警察官が指導のため、他の地域に赴くような場合は、隣接の交番、駐在所要員等が連携して警戒に当たり、体制に空白が生ずることのないよう、配意しているところであります。 また、勤務員に対する実績評価や表彰の審査等におきましても、こうした活動の取り組みを大きな要素として評価しているところであります。 次に、人事異動による指導者の転任についてでありますが、ケースによっては住民の要望なども考慮し、在勤年数の延長等の措置をとっているところであります。 また、やむを得ず転任させる場合におきましても、こうした活動が中断されることのないよう、他の警察官や地域の住民の中の適任者に引き継ぐ等の措置をとっているところであります。 今後も、交番、駐在所勤務員によるこうした活動を組織的にバックアップし、地域住民との良好な関係を保持して、治安の確保に努めてまいる所存であります。 ○副議長(桑原孝行君) これをもって代表質問を終わります。 ○副議長(桑原孝行君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。御苦労さまでした。    午後二時四十九分散会      地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。               山口県議会議長    河   野   博   行               副  議  長    桑   原   孝   行               会議録署名議員    田   中   文   夫               会議録署名議員    藤   谷   光   信...